変化はなぜ難しく、そしてシンプルなのか

変化の可能性はしばしば困難に思えますが、いったん始まれば、変化は自らをエネルギー源として、永続的な成長へと向かいます。人生に変化を起こすことには、あまり語られていない逆説的な側面があります。

一方で、変化はシンプルです。たとえば、毎日歩く習慣を始めたいとします。やることは簡単で、時間を決めて玄関のドアを開け、1日に20〜30分ほど、片方の足をもう一方の前に出して歩くだけです。

しかし他方では、それが大変に感じられることもあります。スケジュールにこれ以上活動をねじ込む時間がないかもしれませんし、帰宅してようやく時間ができても、食事をしたりソファに倒れ込んでテレビを見る以外のことをするエネルギーや意欲が残っていないこともあります。

多くの人と同じように、私も物心ついた頃からずっと、この逆説を経験してきました。しかし、ここ数年になってようやくそれを理解し始め、理解するにつれて、変化を成功させるために関わるさまざまなレバー(状況を動かす要因)や、困難を生み出す要素に気づくようになりました。

私が現在考えている変化の捉え方は、「個人のエネルギーがすべての行動を動かす」という信念に根ざしています。変化を起こすには、特定の領域に追加のエネルギーを注ぐ必要があります。

そこで私が「個人エネルギーモデルによる変化」と呼んでいる仮説の意味合いを、これから見ていきましょう。
 

変化が難しく感じられるとき

私は、個人のエネルギーを銀行口座のお金のように考えると分かりやすいと思っています。私たちはお金を使って物や体験を購入し、給料日ごとに大きな余りが残ることはあまりありません。

長期的には収入を増やすことは可能ですが、短期的には、ほぼ手持ちの範囲でやりくりするしかありません。

個人のエネルギーも性質は同じです。

私たちは、人生を構成するさまざまなタスクを達成するためにエネルギーを投資しています。ときには夜更かしをしたり、気合いや根性に頼ったりして「借り入れ」をすることもありますが、短期的には、基本的に限られたエネルギーをあちこちに振り分けている状態です。

人生に意味のある変化を起こすには、現状維持という流れに逆らう必要があります。これは、最小抵抗の道(いちばん楽なやり方)になってしまったものを上書きすることを意味するため、追加のエネルギーを必要とします。

この「余分なエネルギーが必要になる」という点こそが、変化を難しく感じさせる理由です。歩くよりも速く走るほうが大変に感じるのと同じで、変化を起こすことは、現状維持を続けるよりも大きな負荷を伴います。
 

変化をシンプルにする

私はいま、ある実験の真っ最中です。100日間、特に4人の幼い子どもたちに対して、より忍耐強い人間であろうとしています。

まだ恒久的な成功を宣言できる段階ではありませんが、驚くべきことが一つあります。それは、「その気になれば、忍耐強くいることは驚くほど簡単だ」ということです。

長い間、私は「もっと忍耐強くなりたい」という考えに対して、口先だけで賛同してきました。自分では、積極的に取り組んでいるつもりでさえいました。しかし、実際には状況はほとんど変わりませんでした。

私は、忍耐強くなることは、複雑なスキルを学ぶのと同じくらい難しいのだ、と結論づけることもできたでしょう。つまり、やり方が分からない、あるいは成功に必要なことが分からない、という考え方です。しかし、学んだのは、忍耐強くなることの難しさは、「歩くより走るほうが大変」という例と同じ種類のものだということでした。必要なのは、より多くのエネルギーを注ぐことだけなのです。

私たちが成功と呼ぶものは、同じ方向を向いたポジティブな変化が幾重にも積み重なった結果にすぎません。
 

エネルギーの流れを制する方法

変化がどのように起こり、なぜ難しくもあり簡単でもあるのかを定義したところで、次は、それらの現実を自分たちの味方につける方法を考えていきましょう。

個人エネルギーモデルによる変化には、次の3つの強力な示唆があります。

1.短期的な変化を最大化するためにエネルギーを集中させる

私が最もよく書いているテーマの一つが「集中」です。集中力を高めることは、人生を変える最速の方法の一つだからです。新しい習慣や人生の変化の多くが失敗するのは、私たちが十分に賢くないからでも、徳が足りないからでもなく、そこに十分なエネルギーを注いでいないからです。短期的にエネルギーそのものを増やすのは難しいですが、価値の低い活動からエネルギーを「奪って」くることは常に可能です。これこそが、集中の本質です。

2.長期的な変化を最大化するためにエネルギーを増やす

価値の低い追求から価値の高い追求へエネルギーを振り向ける、いわば「低い位置に実った果実」を取り尽くしたら、次の段階は全体的なエネルギーレベルを高めることです。良い知らせは、進歩は自己増殖し、モチベーションの向上につながるという点です。モチベーションは、素晴らしい個人エネルギーの源です。そのほかにも方法はあります。人生に対する態度を変えること、睡眠・食事・運動のパターンを改善することも、その一つです。

3.変化で最も難しいのは始めること。その後は自らのエネルギー源になる

この点の重要性は、繰り返して強調する価値があります。最初は、変化には追加のエネルギーが必要なため大変ですが、最も信頼できるモチベーションの源の一つは「進歩そのもの」です。

最初の困難な時期を乗り越えて変化を続けていれば、やがてモチベーションというエネルギーを得ることができ、それが次の変化をより容易にします。

多くの人は、努力をどう維持すればいいのか分からず、変化の初期段階で落胆してしまいます。新しい運動習慣は、最初は苦痛に感じるかもしれませんが、時間が経つにつれて楽になり、エネルギーレベルを高めてくれます。この好循環の成果を見るまで、十分な期間、変化を続けることが必要なのです。

私は、自分自身の人生における変化のプロセスを研究する中で、これらの教訓を得てきました。これらが、あなた自身の取り組みを照らし、成功へと導く助けになることを願っています。

(翻訳編集 井田千景)

妻の MollieとともにThis Evergreen Homeでブログを運営し、現代社会でシンプルに、意図的に、そして人間関係を大切にして暮らす経験を共有。