新研究:乳製品は完全菜食よりも血糖コントロールに優れる可能性

植物性の食事が注目を集める中、新たな研究結果により、完全菜食(ヴィーガン)を実践する人は、乳製品がもつ血糖コントロール効果を見逃している可能性があることが示されました。

乳製品を摂取している人は、厳格な植物性食事を守っている人よりも、血糖値がより安定している傾向があると報告されています。

血液に現れた重要な違い

4月22日に『Clinical Nutrition(臨床栄養学)』に発表された2週間の臨床試験で、30名の健康な成人が、乳製品を含むベジタリアン食、または完全植物性のヴィーガン食のいずれかを実践するよう割り当てられました。

その結果、乳製品を含む食事をしたグループは体脂肪の減少がより顕著で、完全ヴィーガン食を実践したグループは体重の減少がより大きかったことが分かりました。

血液検査では、両グループの間に明らかな違いが見られました。乳製品を摂取したグループでは、「アセチル-L-カルニチン」の血中濃度が高く、この物質は細胞が脂肪をエネルギー源として使うのを助け、高血糖による細胞損傷を減らす働きがあることが知られています。

研究者たちは、この差が乳製品摂取者の血糖が低く安定していた理由の一つであると考えています。

研究の筆頭著者であるイギリス・レディング大学のヴィマル・カラニ教授は、「ヴィーガン食を実践する人の血液では、食後にフェニルアラニンの濃度が高くなる傾向があった」と声明で述べています。フェニルアラニンが過剰になると、身体が糖をうまく利用しにくくなる可能性があるとも付け加えました。

彼はさらに、「乳製品を含む食事をしている人の血液には、有益な代謝物が多く見られ、それが血糖の安定に寄与している可能性がある」と指摘しています。

全参加者は試験期間中の14日間、持続血糖モニターを装着し、1日を通じた血糖の変動を追跡しました。これにより、両方の食事スタイルにおける血糖の動きが詳細に記録されました。

さらに、13名のサブグループでは、初日と15日目に空腹時および食後の血液サンプルを採取し、栄養素の代謝物の変化を分析しました。

この試験は、両グループの食事のカロリー、たんぱく質、炭水化物の量を一致させ、比較条件を厳密にコントロールしました。乳製品グループは1日あたり約558g の乳製品(主に牛乳、加えてヨーグルトやチーズ)を摂取し、ヴィーガン食グループは豆乳や豆腐などの植物性代替品を使用していました。
 

食事が血糖値に与える影響

年齢、性別、体重、基礎血糖値といった要素を考慮した結果、研究者たちは、乳製品を含むベジタリアン食を実践している人の方が、ヴィーガンを実践している人よりも、平均血糖値が低いことを発見しました。

両グループとも、食事開始時には血糖値が上昇しましたが、乳製品グループでは7日目から血糖値が低下し始めたのに対し、ヴィーガングループではその後も血糖値が上がり続けました。特に12日目を除くすべての日で、ヴィーガングループの方が高血糖状態が長く続いていたという結果が出ています。

研究者たちは、これらの結果が、乳製品を定期的に摂取する人々の間で2型糖尿病の発症率が低いとする過去の疫学研究の裏付けとなる可能性があると述べています。

また、乳製品が持つ生理活性化合物、たとえば「アセチル-L-カルニチン」などが、血糖値の制御に関わっている可能性も示唆されました。

この研究には関与していないものの、「エターナル・グロー栄養&ピラティス」の登録栄養士デジレー・クレッチマー氏は次のように述べています。「アセチル-L-カルニチンはインスリン感受性を高め、細胞がインスリンに対してより反応しやすくなるため、血糖コントロールに役立ちます」
 

乳製品を摂らない人のための選択肢

栄養士デジレー・クレッチマー氏は、乳製品を摂取しないヴィーガンや乳糖不耐症の人 に向けて、栄養強化された植物性ミルクを活用することを提案しています。具体的には、エンドウ豆ミルク、豆乳、そら豆ミルクなどで、これらはタンパク質構成が乳製品に近く、似たような健康効果が期待できます。

また、この研究には関与していないものの、ニューヨークのノースウェル・ヘルスに所属する登録栄養士エミリー・フェイヴァー氏は、「食の好みにかかわらず、質の高い食品を選ぶことが大切」と強調しています。

彼女はエポックタイムズの取材に対し、「飽和脂肪とナトリウムが少なく、ビタミンDが豊富で、砂糖無添加、さらに生きた乳酸菌が含まれるヨーグルトやケフィア を選ぶのが理想的です」と述べました。植物性食品でも同様の基準が当てはまり、特に豆類をベースにした製品がより良い選択になるとしています。

今回の研究は、世界で2番目に糖尿病患者が多い国・インドにとっても、大きな意義があると研究者たちは指摘しています。
 

血糖をコントロールするためのバランスの良い食事

専門家は、適切な計画のもとであれば、ヴィーガンでもベジタリアンでも健康を維持することは可能だとしつつ、血糖管理においては特定の方法がより効果的であると指摘しています。

また、ニューヨーク・ハンティントン病院の登録栄養士ステファニー・シフ氏は、「ヴィーガンやベジタリアンの方は、精製・加工された食品を避けるべきです。これらは血糖値を急上昇させたり、体内の炎症を引き起こしたりする原因となります」と述べ、「健康にはプラスにならない」と警鐘を鳴らしています。

一方、登録栄養士のデジレー・クレッチマー氏は、血糖を安定させるためには、タンパク質が豊富で加工が少ない食品を選ぶことが重要であり、それが植物性であろうと乳製品であろうと構わないと述べています。

彼女は、砂糖無添加のヨーグルト、豆乳、カッテージチーズや豆類、テンペなどを、乳製品を避けたい人向けの植物性代替品として勧めています。

「タンパク質を豆類やオートミールなどの食物繊維が豊富な炭水化物と一緒に摂ると、血糖の上昇が緩やかになります」と彼女は述べ、「食事を抜かず、規則正しい時間に食べ、食物繊維とタンパク質を組み合わせた食事をすることが大切です。それが、タンパク質の摂取源が牛乳か大豆かよりもはるかに重要です」と続けています。

クレッチマー氏は、丁寧に計画を立てれば、ヴィーガンもベジタリアンも健康に役立つとしながらも、「この研究は、動物性食品を完全に排除することが常に最善とは限らない」と指摘しています。

「適度に乳製品を含む食事、特に発酵食品や培養された形の乳製品を取り入れたベジタリアン食は、代謝面で独自のメリットをもたらす可能性があります」と述べたうえで、「ただし、これはイデオロギーの問題ではなく、自分の体に合った安定性、エネルギー、持続可能性を重視することが鍵です」と結んでいます。

(翻訳校正 華山律)

がん、感染症、神経変性疾患などのトピックを取り上げ、健康と医学の分野をレポート。また、男性の骨粗鬆症のリスクに関する記事で、2020年に米国整形外科医学会が主催するMedia Orthopedic Reporting Excellenceアワードで受賞。