【大紀元日本12月19日】先日ふらりと奈良公園を訪れてみると、ついこの間まで真っ赤に色づいていた木々がすっかり葉を落とし、寒々とした冬景色に替わっていました。それもそのはず、とっくに「大雪」(12月7日)を迎え、七十二候にあるように、日本列島は「空寒く冬となった」のですから。
それでも、幾枚か、寒風に振り落とされまいと、枝にしがみついている紅葉があり、秋の終わりをしみじみと感じさせてくれました。
その葉があまりにも色鮮やかでしたので、ふと、晩唐の詩人杜牧の『山行』が思い出されました。少し時季外れではありますが、ここにご紹介いたします。
杜牧【山行】
遠上寒山石径斜
白雲生処有人家
停車坐愛楓林晩
霜葉紅於二月花
[書き下し文]
遠く寒山に上れば 石径斜めなり
白雲生ずる処 人家有り
車を停めて坐(そぞ)ろに愛す 楓林の晩(くれ)
霜葉は 二月の花よりも紅なり
[現代語訳]
遠くから来て、晩秋のもの寂しい山に登ると、
石混じりの小道が斜めに上のほうまで続いている。
白い雲が湧き起こるような、こんな高い所にも
人家がある。
しばし車を停めて、
夕日に照り映える、美しい楓の林をそぞろに眺めてみると、
霜に打たれて色づいた紅葉は、
二月の桃の花よりも真っ赤で、なんと美しいことだろう。
読者の文月さんから、「寒中」と題する短歌を寄せていただきました。秋が過ぎ、冬が訪れる季節の変わり目が上手く詠まれています。どうぞお楽しみください。
寒中
作:文月
去る秋の 空気も侘びし 神無月
神在月の 出雲恋しき
寒鴉 落ち葉のつもれる 柿木の
一つぞ残す 古き紅き実
早朝の 池の湖畔の 息白し
魚影のかすかに 揺れる黒水
冬林檎 寒気に響く 呼び声の
売り子の頬の いと深き紅
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お題:自由
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