【大紀元日本1月8日】
満を持してスー・チーを解放した軍政(Newsweek日本版)
昨年11月13日、ミャンマーのアウン・サン・スー・チーさんが自宅軟禁を解かれた。ただ、これは、軍事政権が国際社会の圧力に屈したからではなく、次のような周到な準備をした上で行ったものであったという。①2008年5月、「国民投票」によって承認された新憲法を制定。②選挙関連法で、昨年11月に行われた総選挙にスー・チーさんが立候補できないように制限。③「憲法に則って」行われた総選挙で、軍事政権の正統性を国際社会にアピール。④スー・チーさん率いる最大野党「国民民主連盟(NLD)」を解党に追い込む。
まさに、「満を持して」国際社会が求めるスー・チーさん解放に踏み切ったのである。これでもう、誰からも文句を言われる筋合いはなくなったというわけだ。
「満を持す」は中国の次の故事に由来する。
前漢の武帝のとき、匈奴攻撃に出兵した李広軍4千騎は、4万騎の匈奴軍に包囲されてしまった。李広軍の兵士はみな恐れおののいたが、敵軍偵察から帰ってきた李広の息子・李敢が「敵軍は恐れるに足りず」と言うのを聞いて、ほっと胸をなでおろした。
そこで、李広が全軍を外向きに円陣にして匈奴軍に備えたところ、敵軍の激しい矢の攻撃に遭い、半数の兵士が亡くなり、矢も尽きてしまった。そのとき、李広は残った兵士に、弓を引き絞ったままで構えておくよう指示し、「合図があるまで放つな」と命じた。そして、自らは、大きな弓で匈奴軍の部隊長と兵士数人を射落とした。それを目にした匈奴軍は混乱して兵を引いた。(史記・李将軍列伝)
この故事の中で、「弓を引き絞ったまま」に相当する中国語が「持満」、つまり「満を持す」である。「満」とはここでは「弓をいっぱいに引き絞る」ことで、「満を持す」とはその状態を保つこと。この故事から、十分な準備をしてチャンスを待つことを「満を持す」と言うようになったと言われる。
(瀬戸)
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