南宋の愛国詩人とされた陸游(りくゆう)は強硬な対金主戦論者であったため、官職を罷免され、故郷に戻りました。
ある日、遠い地に旅に出かけた陸游はどんどん先へと歩いていき、いつの間にか人気が全くないところへ来てしまいました。斜面の上から見渡せば、前に川が流れ、山が立ち並び、すでに道がありません。しかし、このまま帰りたくない陸游は斜面を下りてけもの道に入ります。少し先を曲がると、なんと目の前には小さな村がありました。色とりどりの花が咲き誇り、まさに桃源郷のように美しい場所です。
今回の旅がなかなか忘れられなかったため、家に帰った陸游は「山西の村に遊ぶ」の詩を詠みました。
そのうちの「山重水複(さんちょうすいふく) 路無(みちな)きかと疑(うたご)う 柳暗花明(りゅうあんかめい) 又一村(またいっそん)」が非常に有名で、「山が幾重にも重なりあい、川が曲がりくねって、道は行き止りかと思いきや、柳がほの暗くしげる中、花がぱっと明るく咲いているところに、また一つの村が現れた」という意味です。
後にこの2節の句は、例え窮地に陥ったとしても、必ずしも絶体絶命はなく、希望を持てばいつか必ず転機が訪れる、という元気付ける句として後世代々に人々に愛され、称賛されています。
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