7月予定の東京五輪は、おそらく延期を余儀なくされるのだろう。
▼歴史的な大事件が出来(しゅったい)することを大変(たいへん)という。現代語では副詞的な意味で多用されるが、本来、大変は非常に重い意味をもつ言葉である。まだ3月下旬だが、今年がこれほど大変の年になろうとは、正月には思いもしなかった。
▼もちろん、何も起こらずに済む一年はない、という準備的な覚悟はあった。しかし、やはり不意に砲弾が飛んできたような衝撃を覚えざるを得ない。しかも、この砲弾、破裂した後の始末が悪くて困るのである。
▼小欄の筆者は今、9年前の3月25日ごろの日本を思い出している。あの時、桜が咲く少し前に巨大地震が発生し、東海岸が丸ごと削り取られるほどの津波に見舞われた。その凄まじい光景と、その中を必死に生きた日本人の姿を思い返しながら、今後、私たちが如何にして力を合わせ、我が国と世界の人々を守れるか、という問いの答えを求めて言葉の宇宙を飛んでいる。
▼オリンピック、パラリンピックを目指して、厳しい練習に打ち込んできた選手の皆さんには、本当に、本当に申し訳ないが、「今は、堪えてください」とお願いしたい。9年前と同じようにオールジャパンで、日本と世界のために、どの国よりも模範となる日本人でありたいと思う。
▼この中共ウイルスは、感染して人を病気にする以前から、人々の恐怖心をあおって社会を狂わすという邪悪性をもっている。医療の充実はもちろんだが、各人が正気を発して邪気を抑えるとともに、その元凶への厳しい追及も緩めてはならない。
【紀元曙光】2020年3月25日
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