『何か言おうとした直前にそれが何だった忘れることがあるのはなぜですか?』
(ラビブ、12歳、カリフォルニア州アーバイン)
ラビブ、それは面白い質問ですね。
やることや言うことを忘れることは、みんなに起こることなのです。
部屋に入ってから、何を探していたか思い出せなかったことがありますか? 一度に複数のことを考えている時や、同時に2つのことをしている時に、起こりがちなのです。
これを「デュアルタスク(2つのことを同時に行うこと)」と呼ぶ人もいます。
友人とチャットしながら道路を横断したり、タブレットや携帯をタップしながら部屋を歩いたりしたことがありますか? それがデュアルタスクです。
誰もがやっていることで、年をとって新しいスキルを身に着けるのにつれて、うまくできるようになります。
でも、私たちの脳は本当に驚くような機能を持ったコンピューターで、実際のコンピューターよりもかなり強力なのですが、一度に使用できる精神的エネルギーは限られています。
脳は発電所
脳を、多くの都市に電気を供給する発電所と考えてください。いくつかの都市で多くのエネルギーが必要な場合、他の都市では使う電力が少なくなります。共有できる電力は限られているのです。
同じように、脳はいつでも共有できる分のエネルギーしか持っていません。年下の子供の脳は小さく、年上の子供よりもエネルギーが少なくなります。
同じ様に、ティーンエイジャーの脳は、大人の脳よりも成熟していません。そのため、何かを忘れるという問題が起こりやすいのです。
古い(そして経験豊富な)脳は、作業の間で共有する頭のエネルギーを使います。
小さな子供でも、デュアルタスクはできますが、年上の子供に比べて年少の子供にとっては少し難しいという研究もあります。
理由は?小さな子供の脳の発電所は少し小さく、年上の子供と同じ量のエネルギーを生み出していないのです。
練習すればできるようになります
自転車に乗る、スポーツをする、ケーキを焼くなどの技術は練習すればするほど、同時に別の作業を実行できるようになります。
非常にレベルの高いスポーツ選手(サッカー選手など)の場合、友人とチャットしながらサッカーボールのジャグリングが簡単にできます。
無意識にできるほどサッカーの技術が高いので、あまり頭のエネルギーを必要としないで、他のことをするのにエネルギーが残っているのです。
しかし、まだサッカーのレベルが低い練習中の人にとっては、ボールをジャグリングするだけで多くの頭のエネルギーが必要になり、会話をするためのエネルギーがあまり残っていません。
でも、なぜ言う前に言おうとしたことを忘れることがあるのでしょうか?答えは、話す直前に「デュアルタスク」をしていた可能性が高いということです。言いたかったことと他の何かを同時に考えていたからかもしれません。または、何を言うか考えながら、聞くことに集中していたかもしれません。
脳は一度に二つの複雑なことをすることができないことがあります。その時は十分な頭のエネルギーがないかもしれません。
何かを忘れることは誰にとっても普通のことであり、一度にあまりにも多くのことをしているときに起こります。
それが起こったら、深呼吸をしてリラックスしてください。
文:ピーターウィルソン ※オーストラリアカトリック大学の発達心理学教授。
(大紀元日本ウェブ編集部)
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