最近、中国共産党(中共)当局アフリカ諸国のうち中国と外交関係を持つ53か国からの輸入品に対する関税をすべて撤廃すると発表した。あわせて「グリーンチャンネル」の高度化などの仕組みを通じ、アフリカ産品の対中輸出の市場参入をさらに拡大する方針も示している。これについて専門家は、「中共ががあらゆる政策を自国の利益と政治的考慮に基づいて進めており、長期的に見れば、この措置はアフリカにとって必ずしも有益とは言えない」と指摘している。
中共の党首・習近平は2月14日、「今年5月1日より、台湾と外交関係を維持しているスワジランドを除くすべてのアフリカ諸国の製品について、中国への輸入関税を免除する」と発表した。
習近平は、「ゼロ関税の実施はアフリカの発展に新たな展望をもたらすだろう」と述べた。
さらに中共メディアは、中共が今後もアフリカ諸国との「経済パートナーシップ協定」の交渉や締結を進め、「グリーンチャンネル」などの制度を通じて、アフリカ製品の中国市場への参入を一層拡大していく方針を明らかにした。
中国経済アナリストの文麗氏は「表面上は経済・貿易政策のように見えるが、実際には政治的な思惑の方が強い。中共は、非常に面子を重んじる政党である。トランプ米大統領の就任以降、国際的な政治秩序が再編され、中共は国際社会でますます孤立している。そのため、アフリカ諸国に関税優遇を与えることで国際的な発言権を取り戻し、中国がより開放的であるという印象を国際社会に与えようとしている」と指摘した。
文氏はさらに、「中共はゼロ関税政策を通じて、経済・貿易を外交の道具として活用しており、関税を『一つの中国』原則の強化や、台湾に対する間接的な圧力の手段として利用している」と分析している。
大紀元のコラムニスト、王赫氏は「中共は長年にわたりアメリカと対立しており、アフリカを政治的に取り込む重要な地域として位置づけてきた。アフリカには53の国があり、それぞれが国連での投票権を持つ。中共の外相が毎年最初の外遊先に必ずアフリカを選んでいるのも、このためだ。この慣例はすでに長年続いている」と話した。
王氏はまた、「対アフリカの関税政策も、内政・外交の面でアメリカに対抗し、台湾を孤立させるための手段の一つだ」と指摘した。
なお、その前段階として中共は2024年12月1日から、すでに33のアフリカの最貧国にゼロ関税待遇を適用している。さらに昨年6月11日に発表された中国アフリカ協力フォーラムの閣僚会議が発表した「長沙宣言」では、外交関係のある53か国との経済パートナーシップ協定を通じ、全品目を対象に100%のゼロ関税措置を実施する方針が盛り込まれていた。
実際、ゼロ関税政策自体は世界では以前から存在している。
アメリカでは1976年1月1日から、最貧国に対して数千品目の免税待遇を与える制度を実施しており(議会による定期的な更新が必要)、EUも2005年から、世界で最も貧しい50か国に対して無関税の市場アクセスを全面的に支援している。日本も2007年4月から、アフリカ諸国を含む最貧国に対して、大多数の商品の輸入関税および割当を免除している。
王赫氏は、「ゼロ関税の実施は、先進国が貧しい国々に対して行う通常の措置であり、中共が提唱した独自の政策ではない。中共がこの件を大々的に宣伝している狙いは、自らを美化し、外交カードとして利用してアメリカを孤立させるためだ」と述べた。
また、「米中貿易が限定的なデカップリング状態にあるなかで、中共は対外貿易の多角化を進めようとしている。特に中国は昨年、貨物貿易で1兆2000億ドル(約180兆円)を超える過去最大の貿易黒字を記録し、世界に大きな衝撃を与えた。こうした状況のもとで、中国は自国のイメージを変える必要性を感じ、譲歩を通じてアフリカ諸国を自国側に引き寄せようとしている」と考えている。
WTOの資料によれば、2024年時点で中国の農産品に対する関税率は約14.0〜14.8%、工業製品は約6.5%であり、これはEUの平均水準である約1.3%を大きく上回っている。このため、中国にはなお大幅な関税引き下げの余地がある。
資料によると、2025年の中国とアフリカの貿易総額は3480億ドルに達し、前年同期比で17.7%増となった。中国の対アフリカ輸出額は2250億ドルで、前年から25.8%の大幅な増加を記録している。双方の貿易における中国側の貿易黒字は1020億ドルとなり、史上初めて1000億ドルを突破した。
王赫氏は、「中共の対アフリカ貿易は極めて利己的であり、実質的には資源の略奪である。短期的にはアフリカに恩恵があるように見えても、長期的には非常に有害である」と強調した。
文麗氏は、「アフリカから中国への輸出は鉱物資源やエネルギー、農産品に集中しており、一方でアフリカが中国から輸入しているのは製造業製品やインフラ関連の物資である。ゼロ関税政策は、アフリカの資源依存型輸出構造を固定化させ、現地の製造業発展を妨げる。同時に、中国の輸出拡大は地元企業の成長をさらに阻害する」と述べた。
文氏は最後に、「中共政権は無頼政権であり、中共への過度な依存は、これらの国々の長期的利益、たとえば主権や人権などを損なう恐れがある。すでにそのような前例も存在する」と警告した。
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