われこそは新島守よ隠岐の海の荒き波風心して吹け(増鏡)
歌意「私こそは、この島に新しくやってきた島守であるぞ。だから隠岐の海の荒い波風よ。私に恐れ入り、心して吹けよ」。
作者は後鳥羽院。執権・北条義時を討伐するため朝廷から兵を挙げて挑みますが、鎌倉幕府軍に大敗。この承久の乱に敗れた院は、ちょうど800年前の1221年7月、隠岐の島に配流されます。
まだ島に送られたばかりの頃の歌ですね。解説書では「かつて日本を統治した帝の気概が感じられる」と説明しているようですが、実際は「無力な流人」です。前代の貴人であるから殺されなかっただけで、これはどうみても、敗者が自身を描いた「戯画」のような歌です。後鳥羽院は18年後の1239年、隠岐で崩御します。
(聡)
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