鎌倉や御仏(みほとけ)なれど釈迦牟尼は美男におはす夏木立かな(与謝野晶子)
高徳院というお寺の名は思い出せなくても「鎌倉の大仏さま」は皆知っています。明治37年8月の文芸誌『明星』に出たこの歌は、衆目を集めました。
崇敬すべき仏像を「美男」とは、なんとも大胆な発想です。そこが与謝野晶子なのですが、歌を重苦しく感じさせないのは、鎌倉という土地の爽やかなイメージと、明るい夏木立の印象でしょう。
ところでこの歌には、必ず「鎌倉大仏は阿弥陀如来である」と注意書きがつけられます。もしや与謝野晶子は、それを承知で(つまり間違えたのではなく)「釈迦牟尼」にしたのではないでしょうか。
さては晶子。「この大仏さまを直接詠んだのでは、ないわよ」を匂わせたかな。
(聡)
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