【未解決ミステリー】失われた発明(二)

マヤ人の知恵 色褪せない永遠の青 マヤブルー

大自然の中で、永遠に続く色は何でしょうか。それはどこまでも広がる青です。しかし、古代の絵の具は、逆に青の絵の具は非常に色褪せしやすいものでした。 ルネサンス期のヨーロッパでは、長持ちする青色の顔料の原料の採掘と抽出が非常に複雑だったため、当時は金よりも高価で、聖母マリアのローブなど、最も重要な対象にしか使われなかったと言われています。

しかし、17世紀にスペインの画家バルタザール・デ・エチャベ・イビアによって作成された「無原罪の御宿り」は、聖母の青い衣が印象的なだけでなく、絵全体が青く染まっているようにも見えます。

実は、この画家が住んでいた場所では、先住民であるマヤ族が良く青を使っていたので、青の顔料は比較的に入手しやすく、価格もお手頃のものでした。後に、マヤ族の美しい青色は「マヤブルー」と呼ばれるようになりました。 マヤブルーは数多くの青色顔料の中で最も空に近い色で、マヤ人はこの青を崇拝し、愛し、神々への供物や壁画の多くに使用しました。 西暦300年頃のマヤ遺跡では、考古学者によって青い壁画が発見されています。風雨でぼやけてしまったものもありますが、美しいマヤブルーだけは今でもはっきりと残されています。

マヤブルーは、欧州の画家が使っていた青よりも鮮やかなだけでなく、長い間安定し、何百年も保ち続けることができます。科学者たちは、このマヤブルーが強酸や強塩基を含むあらゆる種類の化学物質に非常によく耐えられることを発見しました。

しかし、残念なことに、数世紀前にマヤ文明が滅びたと同時に、千年の歴史を持つマヤブルーの色止めとその処方も不思議と消えてしまいました。1950年代、科学者の測定により、マヤブルーは染料としてよく使われるインディゴと、ポゾランと呼ばれる希少な粘土からなっているという事がわかりました。いたってシンプルな配合であることが分かりましたが、 しかし、この2つの成分がどのような方法で、どのような補助具を使って混合されたのかはいまだ謎のままです。

古代人は詩歌や絵画に優れているものの、科学的な知識は遅れていたという印象があるかもしれませんが、 実際はそうではありません。 以前ご紹介したギリシャ火薬のような強力な化学兵器も、釘を使わないほぞ継ぎも、たった1人の職人によって生み出されました。高度な現代科学でもそのレベルにたどり着けないマヤブルーは千年以上も色褪せず、あらゆる毒素にも負けない顔料は、なんと通常の染料と少量の泥でできていたのです。

皆さん、心を開いて考えてみましょう。 もしかしたら、古代の人々は現在と異なった科学を用いていたのかもしれません。私たちの現代科学よりも高度であった可能性もなくはないと思います。ただ、文明の滅亡により、数多くの素晴らしい技術も姿を消し去り、後世に残すことができなかったのです。

(翻訳編集 天野 秀)

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