日本を代表するドライフルーツといえば、やっぱり「干し柿」ですね。
晩秋の空に高々とのびた柿の木。その枝も折れるほど鈴生りに実った柿は、冬を迎える前の色どりか、一年を懸命に働いた人々へのご褒美か、いずれにしても目に心地よい山里の風景です。
ドライフルーツは「栄養ぎっしり」
さて、その柿ですが、分散収穫できるものではなく、なんといっても同時期に大量にとれてしまうという、嬉しい悩みがあります。甘柿はそのまま生食できますが、渋柿はシブ抜きをしなければなりません。
そこで、渋柿の皮をむいて軒先に干すことで、見事なシブ抜きと、栄養価が高く保存性の良い食品の完成という、理想的な両立を果たしたのが日本の干し柿ということでしょう。
干し柿にすると、ビタミンCはなくなってしまいますが、食物繊維とβカロティンは豊富ですので、特に冬場には欠かせない保存食品になります。
さて、日本に限らず、ひろく東洋世界のドライフルーツについて考えてみたいのですが、漢方医学の観点からすれば、ドライフルーツは生食以上に有益な食品であり、漢方薬(生薬)として位置づけられているものも少なくありません。
とくに香港の人は、このドライフルーツが大好きです。その理由として「食べておいしいし、健康になる」という一石二鳥の思考が香港人に合っているから、とも言われます。
そもそも果物は栄養豊富なものですが、ドライフルーツになると、その健康効果が倍増するものが多いのです。それに、ドライフルーツは食べやすいのが便利ですね。皮をむいたり、カットする手間がかからず、袋からそのまま食べられます。
お湯を注いで「フルーツのホットドリンク」
もう一つ、「ドライフルーツをお湯で煮る」という方法もあります。
お茶を入れるのと同じように熱湯を注ぎ、そのスープと果肉の両方を味わう方法です。
味はお好みがありますが、食材の利点を引き出すという意味ではなかなか合理的な方法ですので、日本の皆様もお試しになってはいかがでしょうか。
「フルーツのホットドリンク」と考えれば、なかなか斬新な飲み物になるかもしれません。また、高齢で歯が弱った方にも、このホットドリンクは、ぜひお薦めしたい一品です。
いずれにしても、ティータイムのおつまみにするなら、健康を気にするスイーツよりも、ドライフルーツのほうが優れています。「果物を食べている」と思うだけで、かなり罪悪感が薄くなります。
ただし、ドライフルーツにまぶされた砂糖の量は、少々気にして、度を越さないようにしましょう。「気がついたら、一袋食べていた」というのでは、やはり食べ過ぎですよ。
「体を温める」が最大の特徴
生食の果物には少ない、ドライフルーツの利点を、以下にまとめます。
1、体を温める
生の果物は、ときには体を冷やす場合がありますが、ドライフルーツは血行を促進し、体を温める効果があります。ドライフルーツは冷え性の改善にも向いています。
2、丸ごと食べられる
生の果物は、皮をむいて捨てていますが、ドライフルーツは果物を丸ごと乾燥させた食品なので皮ごと食べることができます。果皮は栄養価が高く、特に食物繊維が豊富です。
ドライフルーツの食物繊維は水溶性と非水溶性の2種類に分けられます。それぞれ効能が異なりますが、その含有量はよくバランスがとれています。
3、健康長寿に有益
色とりどりの果物を乾燥させたドライフルーツには、ポリフェノールなど様々な抗酸化物質が含まれています。体内の活性酸素を抑えて、老化を遅らせるとともに、動脈硬化などの生活習慣病を予防する効果が期待できます。
4、保存しやすく栄養価が高い
本来、鮮度が保ちにくい果物ですが、乾燥させることで長期保存ができます。また、栄養分が濃縮されるため、栄養価が高くなるのがドライフルーツの大きな特徴です。
とても便利で、栄養豊富なドライフルーツは、香港や台湾でもよく食べられています。
日本の皆様にも、ぜひお薦めしたい健康食品です。
(翻訳編集・鳥飼聡)
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