レッドフラッグ演習でF-22ラプターのパイロットが語ったF-35の実力

先月、米国空軍は、F-35ステルス戦闘機を、最高レベルの対空戦闘訓練に初めて参加させた。この訓練では、非常に現実的な空戦演習が実施され、F-35戦闘機が赤の陣営の侵略者の役割を果たし、青の陣営の戦闘機パイロットがさまざまな脅威に対処できるよう訓練する内容のものだ。 F-22『ラプター』のパイロットの中には、F-35のステルス性が対応の難しさと複雑さを増していると言う声もあがっている。

ネバダ州のネリス空軍基地で行われている『レッドフラッグ演習』は、空戦演習として始まったが、次第に高高度の空からの侵入者の脅威に対処する演習や、対空、対宇宙、対情報の脅威に対処するための訓練へと発展してきた。

空軍第57作戦群の司令官で、F-35のパイロットであるスコット・ミルズ大佐は、最近の声明の中で、「私の仕事は、ブルーチームの一日を楽にすることではなく、最も厳しい一日にすることだ。そのためには、F-35を戦場に投入する必要がある」と述べていると、米国技術ニュースの専門ウェブサイトが8月30日に報じている。

演習でブルーチームのパイロットを務めたバージニア州ラングレー空軍基地のF-22インストラクターパイロットであるパトリック・"スモカ"・ボウルド大尉は、Business Insider誌上の記事に対し、F-35が加わったことで訓練がより困難になったことは間違いないと語っている。

ボウルド大尉は、「赤側陣営にF-35を配備することで、多くの脅威が存在する『複雑なシナリオ』に更に『複雑さが増す』。というのも、赤側陣営がステルス(F-35)プラットフォームを持っていることがわかれば、それがどこにあるのか、どうやって同盟国を守るのか、あるいは地上の陣地を守るのかを知らなければならないので、我々の仕事はより困難になる。F-22『ラプター』でも、F-35の位置をうまく(状況認識)するのは難しいことだ」と述べている。

F-22は制空優位のために作られた第5世代の戦闘機で、空戦では一定の優位性を持っているが、F-35はより幅広い能力を持つ新しい第5世代のマルチミッション向きの戦闘機だ。

2018年6月12日、米国のF-35A戦闘機テストでは、メキシコ湾でAIM-120高度中距離空対空ミサイルおよびAIM-9Xサイドワインダーミサイルを発射した。(米国空軍)

同氏は、F-35が演習に参加したことで、「彼ら(F-35)が何をするのか分からない部分があるので、より挑戦的で実践向きなものになった。第4世代のF-16のような古い攻撃機よりも、(F-35は)本質的に青側陣営に大きな脅威を与えた」と語り、赤側陣営の戦闘機を検出することがより困難であったと説明した。

これらの影響について、同氏は、新しいレーダーとアビオニクス(航空機に搭載する電子機器)を搭載したF-35は、あらゆるものに対して優れた検知能力を持っているとし、「これにより、複雑さが増すことは間違いない」と述べた。

(翻訳者・田中広輝)