F-35戦闘機 ドバイ航展に登場 サウジ向け販売をトランプ氏検討

2025/11/19 更新: 2025/11/19

11月17日、2025年ドバイ・エアショーが開幕し、ロッキード・マーティン社のF-35戦闘機に注目が集まった。ロッキード社は中東市場で新たな分野を開拓できるとみられている。アメリカのトランプ大統領は、米国製のF-35戦闘機をサウジアラビアに販売する計画を承認する意向を示した。

17日、トランプ氏はホワイトハウスの大統領執務室で記者団に対し「はっきり言っておくが、我々はそうする。F-35戦闘機を販売するつもりだ」と述べた。

大統領はまた、サウジアラビアがこれらの戦闘機を「購入したがっている」こと、そして彼らが「偉大な同盟国」であることを強調した。

F-35のサウジ販売は重大な政策転換に

ロイター通信が11月初旬に報じたところによると、サウジアラビアは最大48機のF-35戦闘機の購入を正式に要請している。これは数十億ドル(数千億円)規模の取引であり、ムハンマド・ビン・サルマン王子の訪米前に、取引は米国防総省での主要な障壁をすでにクリアしたという。

サウジアラビアは長年にわたり、ロッキード社の戦闘機に強い関心を示してきた。トランプ大統領の発言前、ホワイトハウスの高官はロイターに対し、「大統領はサルマン王子とこれらの戦闘機について話し合いたい」「その後に決定を下す」と述べていた。

この武器売却は大きな政策転換であり、中東地域の軍事バランスを変える可能性を秘めている。サルマン王子は18日にホワイトハウスを訪れ、トランプ大統領と会談する予定である。トランプ氏の目標は、この訪問期間中にサウジと重要な商業的・安全保障上の合意を結ぶことにある。

サルマン王子の今回のホワイトハウス訪問では、大統領執務室での会談や昼食会も予定されており、これは最近トランプ大統領が他国の指導者と行ってきた形式と同様である。また、ホワイトハウスでは18日夜にサルマン王子を招いた正式晩餐会が催されるが、国賓晩餐会ではないという。

イスラエルと中東の軍事バランスへの影響

もしF-35戦闘機の販売が実現すれば、サウジアラビアはF-35プログラムに参加する初のアラブ諸国となる。

アラブ首長国連邦(UAE)は過去にF-35の購入を希望していたが、米国が同国に対し、通信ネットワークからファーウェイ製品を排除し、さらに中国との距離を取る措置を求めたため、UAEは2021年に交渉を一時停止した。米国は今回、1機あたり約1億ドル(約150億円)とされる第5世代戦闘機のサウジ向け販売で合意に達するとみられている。

米国とサウジアラビアの間でこのような軍事取引が進むことは、イスラエルが維持してきた軍事的優位性に影響を及ぼすのではないかとの懸念を生んでいる。この軍事優位性は米国法にも明記されており、一部のイスラエル政府関係者はサウジへのF-35販売に反対の立場を表明している。

イスラエルの駐米大使エヒエル・ライター(Yechiel Leiter)氏は、米国とサウジのF-35取引や、米国がアラブ諸国へ他の兵器を売却する可能性についての懸念をやわらげようとした。

11月13日付の『エルサレム・ポスト』紙のインタビューで、ライター大使は「イスラエルの軍事的優位性が損なわれる兆候はまったくない」と語った。

ドバイ航展 F-35とSu-57E 対照的な評価

ドバイ・エアショーでは、F-35戦闘機が中心的に展示され、中東防衛市場でのその存在感を強く印象づけた。

一方で、同じく展示されたロシアのSu-57E戦闘機は、いまだ国際的な買い手を見つけていない。今回の展示会は、この地域の軍用航空分野で続く競争と地政学的な変化を浮き彫りにした。

Su-57Eの性能については情報が限られており、各国が評価を行うことが難しい状況にある。

ロッキード・マーティン社は世界最大の軍需請負企業であり、2001年にF-35統合攻撃戦闘機プロジェクトを獲得して以来、西側諸国の高性能戦闘機市場をリードし続けている。航空事業はロッキードの中で最大の部門であり、収益の3分の2以上をF-35が占めている。

F-35ステルス戦闘機は、世界で最も先進的な戦闘機の一つとされている。この機体は情報収集を行い、地上部隊や艦艇、他の航空機とデータを共有できる。さらに無人機群を指揮して攻撃を行う能力を備えており、「空のクォーターバック(司令塔)」とも呼ばれている。

F-35は長距離攻撃能力を備え、とりわけ敵の複雑な防空システムを特定・破壊し、爆撃や地上攻撃のための道を切り開く役割に長けている。これまでにF-35はイラクやシリアでのイスラム国掃討作戦で使用され、またイスラエルとイランの間で2025年6月に起きた12日間の戦闘でも空爆に参加した。

この戦闘機はロッキード社によって製造され、イギリス、イタリア、オランダ、カナダ、デンマーク、ノルウェー、オーストラリアと共同開発されている。これらの国々はいずれも購入契約を結んでおり、中でも垂直離着陸が可能な艦載型F-35Bは最も高価で、その価格は1機あたり1億ドル(約150億円)を超える。

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