漢方医学の立場から言うと、それぞれの臓器や器官系統は、全て脳の記憶力に深い関係があります。
例えば、心(心臓)は意識、精神、感覚、思想の源であり、脾(脾臓)は消化と密接に関係する器官です。消化機能が良好であれば、頭もはっきりします。
また、腎(腎臓)も記憶力と関連しています。腎機能は加齢とともに低下しますが、それにともない記憶力も衰えをみせるようになります。
こうした漢方医学の視点から、いつまでも若々しい記憶力を維持するには、臓器や器官をはじめとする全身の機能を、健全に保つことが求められます。
そのほかに、以下のような10種の方法を実践することも効果的です。
1、生活をシンプルにする
精神的な負荷を感じたときは、「脳がいっぱいになっている」という警告です。
その要因は、個々の状況によって複数あるはずですが、ある時点で、「今の生活をシンプルにする」という発想をもつことは役に立つかもしれません。
2、ストレスを取り除く
ストレスを解消する方法は、暴飲暴食以外ならば、どんな方法でも構いません。
ヨガのレッスンを受けたり、瞑想をしたり、新しい趣味をもつなどして、少しでも自分を落ち着かせる時間を作りましょう。
3、体に良い食物をとる
精製されていない全粒穀物や野菜をたくさん食べましょう。タンパク質も、必ず適量とるようにします。
4、食事にゆっくり時間をかける
食事は、まっすぐに座って、よく噛み、ゆっくりと呑み込みます。冷たい食べ物や飲み物は消化機能に影響を与えますので、なるべく控えたほうがいいでしょう。
5、腎臓を守る
どうすれば腎臓は守れるでしょうか?
まず、何をするにも慌てず急がず、許容される範囲でスピードを落とします。漢方医学の観点からすると、過労はさまざまな病気の原因になります。
また、人とのつきあいで宴会に参加するのは結構ですが、無理をして体が疲れるような場合は避けてください。腎臓機能を弱め、老化を早めることになります。
6、適度に運動する
1930年代から始まった研究では、たとえ週2回でも適度な運動を続けることは、将来認知症になる可能性を低下させることが判っています。
7、喫煙者は今すぐ禁煙を!
長年にわたり喫煙してきた人は、タバコによる脳の劣化を完全に回避することはできませんが、タバコをやめるのは早ければ早いほどいいでしょう。
8、緑茶を飲む
抗酸化物質が豊富な緑茶を1日に1、2杯飲むだけで、認知障害のリスクを50%も減らせることが、2006年の研究で明らかになっています。
ただし、緑茶を飲み過ぎると胃を荒らしますので、適量を守ってください。水分補給には、白湯や温水が最適です。
9、リストを作成する
誰でも起きる記憶違いは、一度に多くのことをやろうとする副産物かもしれません。
やる予定のことや覚えておきたいことをリストアップして、混乱する脳を助けましょう。
10、クイズゲームをする
クロスワードパズル、数独(すうどく)、トリビアクイズ(雑学クイズ)などで脳を柔軟にする時間を設けます。そのほか、新しいスキルや外国語を学ぶことでも脳が鍛えられ、記憶力の低下を防ぐことができます。
いかがですか。
小さなことを日常のなかに取り入れるだけで、あなたの記憶力は衰えず、いつまでも若々しい知的生活ができるようになります。
(文・Lynn Jaffee/翻訳編集・鳥飼聡)
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