健康的な食事は一つの学習プロセスです。毎日、栄養価の高い食事をすることは、心臓、血圧、ウエスト周囲径、そしてより重要な脳、気分、エネルギーレベルなど、私たちの身体と精神の健康に影響を及ぼします。
人間の腸には何百万もの神経細胞があり、そのため「第二の脳」と呼ばれています。腸の働きは、食べたものを消化するだけではありません。腸内の微生物集団は、心身の健康に重要な影響を及ぼしています。科学者たちはすでに、腸の健康状態を改善することで免疫系を強化し、精神疾患の治療に役立てることができるかどうかを調査しています。
具体的には、腸に炎症が起きると、脳や体が使えるエネルギー量が減ってしまうのです。その結果、エネルギーが減少するだけでなく、脳組織を損傷するフリーラジカルが増加します。
セロトニンレベルの低下は、人の気分、不安レベル、幸福感に影響を及ぼします。体内のセロトニンの80~90%は消化管で生成されると言われています。
したがって、どの食べ物が腸や脳に慢性的な炎症を引き起こすのかを理解することは、体内の気分やエネルギーレベルを管理する上で重要なステップとなります。
ハーバード大学の栄養学専門家、精神科医、脳の健康研究者であるウマ・ナイドー氏は、5月14日にCNBCに寄稿し、食べすぎると疲れやストレスを感じやすいこれらの5種類の食品をできるだけ避けるよう勧めています。
1.加工食品
焼き菓子や炭酸飲料など、精製糖や添加糖を多く含む不健康な加工食品を摂取すると、脳が過剰なブドウ糖で満たされることになります。この「砂糖水」は、脳の炎症を引き起こし、やがてうつ病や疲労感をもたらす可能性があるのです。
「加工食品の代わりに、生鮮食品や野菜など栄養価の高いホールフーズや、オーガニックのグラスフェッドビーフや天然または持続可能な方法で捕れた魚などのクリーンプロテインを買うことをお勧めします」と、ナイドー氏は書いています。
2.工業用種子油
食品産業の工業化により、安価で加工度の高い食用油が開発され、様々な作物の副産物から生産されるようになりました。
ナイドー氏は、これらの油は加工によって炎症性のオメガ6脂肪酸を多く含み、脳の健康を促進する抗炎症性のオメガ3が欠乏していると書いています。また、オメガ6脂肪酸を多く含む食品を摂取している人は、オメガ3を多く含む食品を摂取している人よりもうつ病のリスクが高いことが研究で明らかになっています。
「料理の際には、エクストラバージンオリーブオイルやアボカドオイル(=アボカド油)など、抗炎症作用のある代用品を選びましょう」と提案しています。
3.加糖・精製糖
砂糖は、菓子パンやデザート、シリアルだけでなく、ケチャップやサラダドレッシング、チップスなどの風味豊かな食品にも多く含まれています。
添加物や精製された砂糖は、炎症を増やし、体に過剰な糖分を与えるので、不安感や情緒不安定を引き起こす可能性があります。
砂糖への依存を減らすには、砂糖が添加されていない自然食品を買うことだと、ナイドー氏は言います。
4.揚げ物
揚げ物のサクサクとした食感は、一口食べると止まらなくなり、気がつくと全部食べてしまっている事があります。しかし、フライドチキンやフライドポテトは太るだけでなく、漢方的には揚げ物は非常に「油っこい」ものであり、食べ過ぎると体に害があるとされています。
オメガ3が豊富な魚でも、揚げるとオメガ6になってしまいます。
2016年の研究では、715人の工場労働者を調べ、うつ病のレベル、レジリエンス、揚げ物の消費量などを測定しています。研究者たちは、揚げ物を多く摂る人ほど、生涯にわたってうつ病を患う可能性が高いことを発見しました。
ナイドー氏は、揚げ物は不健康な脂肪で揚げられていることが多いので、人間の精神状態にも悪影響を及ぼす可能性があると述べました。現在、栄養士は、心血管疾患などの原因となることが知られている「悪い脂肪」(マーガリン、水素添加油など)と、健康に良いとされる「良い脂肪」(アボカド、オリーブオイルなど)とを区別しています。
5.人工甘味料
ナイドー氏によると、人工甘味料(主にダイエット飲料)を摂取する人は、人工甘味料を摂取しない人に比べて、より気分が落ち込むという研究結果があるそうです。さらに悪いことに、人工甘味料が気分を調整する神経伝達物質の濃度を変化させる可能性があることを示す研究もあります。
「人工甘味料を減らすために、ハチミツやアガベネクターなどの天然甘味料を飲み物に加えてください」と彼女は推奨しています。
(翻訳:香原咲)
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