糖質を減らし、カットするという考え方は、今、社会的にとても注目されています。食生活の中で糖質の摂取量を減らし、ある程度「糖質ゼロ」の食生活を実践し始めている人も多いのではないでしょうか。
しかし、『米国科学アカデミー紀要』に掲載された最近の研究では、糖は体の免疫機能にとって重要であり、免疫細胞の活性化に決定的な役割を果たすことが明らかになりました。適度な糖分が体内に存在すると、免疫力が活性化されるのです。
免疫細胞は糖質を食べないと強くなれない
私たちの体の中の免疫細胞の多くは、リンパ節に住んでいます。そして、リンパ節はエネルギーに満ちています。「リンパ節にはたくさんの『お弁当』があるとしましょう。免疫細胞は食べる準備ができていて、エネルギーに満ちています」と、研究の責任者でポルトガルの分子医学研究所(IMM)のマーク・フェルドホーベン所長は言います。
ウイルスを退治するために、免疫細胞がリンパ節を離れるとき、自分たちの燃料となる「お弁当」を持っていくこともあります。家で食事をした人が、職場に食事を持っていくようなものです。
免疫細胞の中には、リンパ節ではなく、腸などの組織に生息しているものもあります。しかし、食べるものが少ないのです。「これらの免疫細胞は通常、半活性状態で、例えるなら感染症との戦いに備えています」とフェルドホーベン氏は言います。
そこで、エネルギーを補給して免疫細胞を活性化するために、ブドウ糖を「食べる」必要があるのです。マウスの腸をモデルに、腸内のブドウ糖の充足度が免疫細胞の活性化率を左右することが発見されました。
ブドウ糖が手に入ると、免疫細胞は「より早く感染を取り除くことができる」と、もう一人の研究者であるスペラ・コンハール氏は述べています。
炭水化物は、総エネルギーの50~55%を占めると最も健康的である
体は、炭水化物、タンパク質、脂質の3大栄養素からエネルギーを得ています。
炭水化物は糖質とも呼ばれます。最終的にブドウ糖に変換される主な炭水化物は、でんぷんとショ糖で、炭水化物の仲間です。
私たちの体は、ブドウ糖を得るために炭水化物を必要としますが、健康であるために、どれ位の量を摂取すればよいのでしょうか。
『Lancet』誌に掲載された研究では、45歳から64歳の米国の成人1万5千人以上を対象に、平均25年間に及ぶ追跡調査が行われました。
その結果、総エネルギー量の50〜55%を炭水化物、タンパク質、脂肪から摂取した場合に、最も長生きすることが判明しました。
炭水化物からのエネルギー摂取量が全体の50%未満、または55%以上の場合に、最長寿の影響がありました。つまり、炭水化物を食べ過ぎても、食べなさ過ぎても危険なのです。
さらに研究者は、50歳の人が総エネルギーの30%未満を炭水化物から摂取した場合、余命は29.1年、65%以上であれば32年と予想されると述べています。しかし、食事に含まれる炭水化物からのエネルギーの割合が50%~55%であれば、寿命は33.1年に延びるとされています。
(つづく)
(翻訳編集:井田千景)
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