新型コロナウイルス流行時に、パルスオキシメーターで自己チェックすると酸素濃度が99%を超えていたのに、健康診断に行くと「心臓の酸素が不足している」と言われた人がいます。これはなぜでしょうか。また低酸素血症の警告サインは何でしょうか。
人は24時間呼吸しているのに、なぜ酸素が不足するのでしょうか。
循環器専門医で台湾の宇平クリニックの院長である劉中平氏によると、低酸素症には3つのタイプがあるそうです。
低酸素症の3つのタイプ
1、体内に吸い込まれる酸素が不足
例えば溺れたり、食べ物を詰まらせたり、新たに冠状動脈性肺炎などの肺の病気になって低酸素になったりして、体内に吸い込まれる酸素が足りなくなった場合です。
劉中平氏は「これは全身的な酸素欠乏症だ」と指摘します。このような患者がパルスオキシメーターで指を検査すると、血液中の酸素濃度が低くなっていることがわかります。
2、血液の供給不足
これは、血管が自然にけいれんを起こし、血流が悪くなることが原因です。あるいは、後天的に血管の壁に脂肪や悪玉コレステロールが蓄積して血管が狭くなり、血液がスムーズに流れなくなる動脈硬化の場合もあります。
組織や臓器への血液供給が不足すると、局所的な低酸素症が起こることがあります。例えば、心臓に供給される酸素が少なくなると、心臓の低酸素症状態になることがあります。
劉中平氏は、心臓の低酸素症などのほとんどの低酸素は局所的であり、このような場合はパルスオキシメーターでは検出できないと指摘します。
このほか、重量物により四肢が圧迫されるなどの事故や、指に輪ゴムを巻いて指の血流が悪くなり紫になるなど、血液供給の不足により局所的に酸素不足になる場合もあります。
3、赤血球が十分な酸素を運べない
赤血球に含まれるヘモグロビンは酸素を運ぶ役割を担っており、赤血球は全身に酸素を運ぶ役割を担っています。ヘモグロビンが不足すると、赤血球が酸素を運ぶ能力が低下します。また同様に、赤血球が十分でないと、十分な酸素を運ぶことができません。そのため、血球機能が低下している人や重度の貧血の人は、局所的な低酸素状態になりやすいのです。
この3つの低酸素血症を放置すると、心不全や心筋梗塞を引き起こす可能性があります。
心臓の酸素欠乏は低酸素病変または虚血性心疾患と呼ばれ、心臓の冠動脈の閉塞が主な要因です。また、低酸素の発生は、慢性と急性に分類されます。
・急性低酸素症
急性低酸素症は、血管内で急性血小板凝集が起こり、血栓性閉塞を起こすと発生します。心筋梗塞がこれに該当し、発作は急激で、発症後すぐに倒れてしまうことが多いです。心筋梗塞は、血管の壁が薄くなったり、疲労や水分不足などで、血栓ができることで突然発症することがあります。
・慢性的な低酸素症
急性低酸素症より慢性低酸素症の方が発症率が高いです。
主な原因は血液の供給不足ですが、もう一つの原因として貧血が関係しています。劉中平氏は、臨床診断時に患者のヘモグロビンが適量かどうかをチェックするそうです。
慢性的な心臓低酸素症の症状:胸の圧迫感、胸痛、息切れ。
歩行時や運動時によくこのような状態になりやすい人は、特に注意が必要です。
高コレステロールや喫煙で血管が狭くなり、歩くと息切れしたり、胸が痛くなったりする人が多いようですが、症状がなくなると「大した問題ではない」と思い込み、軽視されることが多いです。しかし、心臓の酸素不足を放置すると、衰弱が進み、重度の不整脈、心不全、心筋梗塞などを引き起こす可能性があります。
また、慢性的な低酸素状態が急性化し、心筋梗塞を引き起こすこともあります。ですから、息切れがしやすい、胸が痛いなどの症状がある場合は、パルスオキシメーターなどに頼らず、また後回しにせず、病院で心臓の検査を受けることをお勧めします。
(つづく)
(翻訳編集:香原咲)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。