塩分を摂り過ぎると死亡率が20%上昇する!? 血管を弛緩させ血圧を下げる、ある食品とは(2)

(続き)

5.胃がん

世界がん研究基金(WCRF)によると、食塩の過剰摂取は胃がんの増加と関連しています。例えば、塩漬けの肉や魚、塩漬けの野菜など。これらの食品を多く摂ると、胃がんになる確率が高くなるということです。
その理由は、塩分が胃の粘膜を傷つけ、病変を起こし、そのままにしておくと胃がんに発展する可能性があるからです。また、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染すると胃粘膜が傷つき、胃がんの原因になることもあり、その際に続けて塩分の過剰摂取をすると、胃の状態は更に悪化します。

体内の塩分を洗い流すには、
カリウムを多く含む食品を食べましょう!

塩分を摂りすぎたとき、それを体外に流してくれる栄養素があります。それがカリウムです。 そのため塩分を取りすぎた際は、カリウムを多く含む食品を摂取する事が最適です。

ナトリウムとは逆に、カリウムは血圧を下げ、心血管疾患を予防する効果があり、またナトリウムを除去して、ナトリウムの大量摂取による悪影響を軽減することができると陳怡婷氏は述べています。

《循環器薬理学雑誌》(Journal of Cardiovascular Pharmacology)に掲載された研究では、23名の高血圧患者を2つのグループに分け、食事摂取量を変えずにカリウム錠剤とプラセボを1ヶ月間投与したところ、カリウム補給群の平均血圧は、プラセボ群に比べ4%低下し、高血圧患者にとってカリウムの摂取量は非常に重要であることが証明されました。

また、ナトリウムとカリウムの摂取量が一定である高血圧患者12名に、12日間連続でカリウム錠を服用させたところ、カリウム補給患者1名あたり、平均110ミリモル(mmol)のナトリウムが体外へ排泄されました。

人間の体には、1日にナトリウムよりもはるかに多くのカリウム摂取が必要です。ところが、多くの人は十分な量を摂取できていません。ハーバード大学の大規模研究で、カリウムの摂取量を増やし、ナトリウムの摂取量を減らすことが、心血管疾患のリスク低減につながることが明らかになりました。
この研究では、1日1000mgのカリウムの尿中排泄量の増加(摂取量の増加を意味する)は、心血管疾患のリスクを18%減少させることにつながると指摘しています。 

また、心血管疾患を含むカリウムの摂取量が最も多い人は、最も少ない人に比べて全死亡率が20%低いことが分かりました。 

カリウムを多く含む塩分除去食品

果物:バナナ、メロン、パパイヤ、ミニトマト、キウイ、柑橘類、ドリアン。
野菜:ほうれん草、サツマイモの葉、セロリ、春菊、空心菜、ビーツ。
でんぷん:ジャガイモ、ヤマイモ、カボチャ、サトイモ、サツマイモ。
おやつ・飲み物:プレーンナッツ、ダークチョコレート、コーヒー、緑茶、小豆水。

高カリウム野菜の欠点は、調理中にカリウムの一部が流れてしまうこと、また、調理の際に塩分などの加工調味料を入れすぎてしまうことです。陳怡婷氏は、ねぎ、しょうが、にんにく、唐辛子、ピーマン、ローズマリー、コリアンダー、トマト、レモン、八角、イタリアンスパイスなどの香りの強い食材や天然香辛料を使って、調味料の量を少なくすることを提案しています。

また、調理中のカリウムの損失を防ぐために、カリウムを多く含む野菜や果物でスムージーを作ることも一つです。ただし、含まれる野菜の割合は、果物の割合よりも高くする必要があります。

この食品もナトリウムが入っています!!
注意するべき、しょっぱくない高ナトリウム食品

塩分を除去する食品に加え、食事中のナトリウムの摂取量を減らし、加工食品も控えることが健康的な食事となります。
塩分の過剰摂取を避けるには、まず加工食品の摂取を控えることが大切です。米国での調査によると、人々が摂取する塩分のほとんどは、市販の加工食品から摂取しています。

ナトリウムを多く含む一般的な加工食品:ハム、ベーコン、ホットドッグ、ソーセージ、ミートローフ、ジャーキー、鍋の素、漬け物、麺類、缶詰、ポテトチップスなど。

ナトリウムを多く含む注意すべき加工食品:酸味のある砂糖漬け、ドライフルーツ、パン、ケーキ、ビスケットなど。

これらは一件問題ないように見えますが、実は、製造工程で多くの塩が使われていますので注意が必要です。
ナトリウムを多く含む加工食品を誤って摂取しないよう、パッケージの栄養表示に注意しましょう。 陳怡婷氏によると、食品100gまたはmlあたり600mg以上のナトリウムを含む食品は、高ナトリウムとみなされます。

加工食品以外にも、レストランやスナックなどで食べる出来立ての料理にも、ナトリウムを多く含むものがあります。例:ピザ、タコス、バーベキュー、ビーフ麺、鍋、リゾット、スープ、クリスピーチキンなど。
ケチャップ、餃子や鍋のタレ、サラダドレッシングなど、主にソースやたれから塩分を摂取している食品もあります。さっぱりした味わいのサラダの場合、ソース類はナトリウムが多いので、使用量に気をつけましょう。 
(完)
(翻訳編集:香原咲)

蘇冠米