塩分の摂り過ぎは、後に高血圧、循環器疾患、糖尿病、ガンなど様々な病気の原因となります。しかし幸いにも、体の負担を軽減してくれる「塩分を排出する食品」があります。
高塩分食は死亡率を高め、
5つの慢性疾患を引き起こす
よく「塩分摂取は控えめに」「塩分を摂り過ぎないように」という言葉を聞きますが、実は、食事に塩分を加えることは大切なことなのです。
食塩の主成分は塩化ナトリウムで、それは浸透圧の正常な維持、体内pHの調整、神経伝達、筋肉の収縮・弛緩、心拍リズムの維持などに不可欠な物質です。
そのため、体の機能を維持するためには、毎日適量のナトリウムを摂取することが必要です。現在、成人の1日のナトリウム推奨摂取量は2300mgで、食塩に換算すると約6gとなります。
しかし、人は往々にして塩分を過剰に摂取してしまうものです。その長年の積み重ねにより、死亡のリスクが高まります。米国疾病予防管理センター(CDC)の研究グループは、米国の成人1万2267人を15年間追跡調査し、ナトリウムを過剰に摂取している人は全死因死亡率が20%高いという大規模な研究結果を発表しました。
また、長期的な塩分過剰摂取は、次のような慢性疾患のリスクを高めると言われています:
1.高血圧・循環器疾患
管理栄養士の陳怡婷(ちん・いてい)氏によると、塩分の過剰摂取による主な影響は、高血圧と心血管疾患のリスク増加です。
過剰なナトリウムは腎臓から排泄されるため、塩分の過剰摂取は腎臓への負担を増やすことになります。そして腎臓でナトリウムが十分に排泄されないと、体内にナトリウムが蓄積されます。このとき、浸透圧のバランスを保つために大量の水分を吸収しなければならず、血液量が増えて血圧が上昇し、心臓への負担も大きくなります。
そのような状態が長く続くと、血管が硬くなり、高血圧や心臓病、脳卒中、さらには心不全の原因になります。
2.慢性腎臓病
塩分の摂りすぎは、慢性腎臓病の危険因子である高血圧の引き金となります。《アメリカ腎臓学会誌》(American Journal of Kidney Diseases)のメタ分析によると、高血圧の患者は、血圧が正常な人に比べて慢性腎臓病を発症するリスクが76%高いことが示されています。
塩分の摂り過ぎは、高血圧だけでなく、タンパク尿や腎臓のろ過速度の低下など、腎臓に直接ダメージを与える可能性があります。
3.糖尿病
陳怡婷氏によると、長期間にわたるナトリウムの過剰摂取は、インスリンの分泌に影響を与え、糖尿病を引き起こす可能性があります。
東京の成人1万3000人を対象としたカルテおよびアンケート調査により、高カロリー・高塩分摂取群は高カロリー・低塩分摂取群に比べ、糖尿病の累積発症率が有意に高いことが示されました。
実際、高塩分食は肥満、インスリン抵抗性、非アルコール性脂肪肝疾患などの代謝性疾患と関連があることが分かっています。
4.骨粗鬆症
塩分の多い食事は、心臓や腎臓だけでなく、骨にも害を及ぼします。
体内のナトリウム濃度が高くなりすぎると、カルシウムの尿中排泄量も増加します。すると血液中のカルシウム濃度を維持するために、体内の骨からカルシウムが自動的に血液中に溶け出し、それが長期に及ぶと骨粗鬆症につながるのです。
韓国の研究では、尿中ナトリウム排泄量は骨の健康と関係があり、中でも女性は高塩分食の影響を最も受けやすいことが分かっています。
更年期の女性を対象とした《アメリカ臨床栄養学雑誌》(American Journal of Clinical Nutrition)の研究では、尿中ナトリウム排泄量を減らすことで骨量の減少を抑えることができることが示されました。
また動物実験では、慢性的な食塩の過剰摂取により、破骨細胞の数が増加し、骨芽細胞の数が減少し、骨の質と完全性が損なわれることが明らかになりました。
(つづく)
(翻訳編集:香原咲)
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