ココナッツシュガーで糖尿病が治る?  知られざる驚くべき効能とは(1)

ヘルシーな天然の砂糖といえば、ココナッツシュガーを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。その名前だけで、ココナッツシュガーはココナッツの果実から抽出された砂糖だと思う人もいるかもしれません。実は、この砂糖はココナッツの木、花の咲く枝の樹液から採れるもので、正確にはココナッツ・ブロッサムシュガーと呼ばれます。この記事では、あまり知られていないココナッツシュガーの健康効果についてご紹介します。

ココナッツシュガーはこうして採取される

ココナッツシュガーを得るために、ココナッツ農家は毎朝と夕方、ココナッツの木に登り、ココナッツの木のまだ開いていない花序の枝をナイフで切って流れ出る樹液を集めます。その後、樹液を煮詰めて濃縮し、最終的にシロップや角砂糖、顆粒砂糖に加工します。

ココナッツの木の花序の枝1本から、1日に1.5リットルの樹液が採取され、その中には15パーセントの糖分が含まれ、200グラムのココナッツシュガーができます。平均して、ココナッツの木は1か月ごとに新しい枝を伸ばし、1本の枝で40日以上連続して樹液を採取することができます。

ココナッツシュガーは主にフィリピン、インドネシア、タイなどの東南アジア諸国で生産されています。

ココナッツ農家は木に登って流れ出る樹液を集めます。 (Jaromir Chalabala / PIXTA)

ココナッツシュガーは蜂蜜よりも血糖指数が低い

一般的に、GI値(血糖指数)が55以下の食品は低GI食品とされ、摂取後の血糖値の増減が小さくなります。GI値が56~69の食品は中GI食品、70前後の食品は高GI食品とされています。

さまざまな情報源によると、ココナッツシュガーのGI値は35~54で、メープルシロップと同程度で、ハチミツの60よりも低くなっています。ココナッツシュガーのGI値が低いのは、その糖組成にも関係しています。

新鮮で防腐剤無添加のココナッツ樹液から作られたココナッツシュガーには、ショ糖が49%、ブドウ糖が16%、果糖が14%含まれています。 

樹液を採取する過程で防腐剤の石灰を加えると、少ないショ糖がさらにブドウ糖と果糖に分解され、結果としてショ糖の含有量が多いココナッツシュガーになります。

ココナッツシュガーにはイヌリンも含まれており、100グラムあたり4.7グラムのイヌリンが含まれています。イヌリンは食物繊維で、血糖値の上昇を緩やかにします。

ココナッツシュガーの血糖指数の低さは、以下の糖組成にも関係しています。 (Val Suprunovich / PIXTA)

ココナッツシュガーには、
糖尿病を治療する3つの効果があります

■抗糖尿病作用

2型糖尿病の原因のひとつは酸化ストレスで、インスリン抵抗性を誘発し、インスリン分泌に影響を与えます。ココナッツシュガーにはポリフェノールが豊富に含まれており、体内の酸化ストレスを軽減し、糖尿病患者をある程度保護することができます。

研究により、「ココナッツミルクには、没食子酸、プロトカテク酸、コーヒー酸、p-クマル酸、フェニルアラニンの5つの主要なフェノール物質がある」ことが確認されています。

マレーシア・ボテラ大学工学部加工・食品工学科のユス・アニザ・ユソフ教授は、エポック・タイムズのインタビューで、ココナッツ樹液をココナッツシュガーに濃縮する過程で、これらの物質の濃度が増加すると説明しました。

さらに、ココナッツシュガーにはαアミラーゼを抑制する効果もあることが実験で証明されています。 そのため、2015年に『国際医療科学技術研究(International Journal of Pharmaceutical Science and Technology Research)』に発表された研究では、ココナッツシュガーは2型糖尿病の治療に使用できると結論付けられています。

特筆すべきは、ココナッツシュガーにはロイシン、アルギニン、イソロイシンといったアミノ酸が含まれており、これらには抗糖尿病作用があると考えられていることです。

2022年の「Food」誌に掲載された研究論文によると、研究者たちは糖尿病マウスに異なる原材料から作られたビスケットを与えました。その結果、ココナッツシュガーとココナッツオイルを加えたコーンビスケットを食べると、サトウキビ糖とマーガリンを加えたビスケットに比べて、マウスの血糖値と酸化ストレスが効果的に低下し、それまで低かったヘモグロビンと体重が回復したことがわかりました。この食事を4週間続けたところ、糖尿病マウスの血糖指数は改善し、全体的な状態は基本的に正常マウスと同じになりました。

(つづく)

李路明