日本でコロナワクチン接種後にがん死亡率が増加=新研究(上)

近年の日本国内における「がんの増加傾向」に関して詳細に調査した研究が8日、国内の研究者らによる査読済み論文で示された。研究は、特定のがん種における死亡率が特に2022年に予測を超えて大幅に増加したことを指摘した上で、同時期に接種が進められた新型コロナワクチンがリスク増加に寄与した可能性に懸念を示した。

論文は国際的なオンラインジャーナルであるCureus(キュリアス)に掲載された。英語の論文タイトルを日本語に訳せば、「日本における新型コロナパンデミック期間中の3回目のmRNA脂質ナノ粒子ワクチン投与後のがんによる年齢調整死亡率の増加」となる。「脂質ナノ粒子」とは、mRNAワクチンの作用機序を可能にした重要な構成要素だが、その毒性リスクも指摘されている。

日本では2021年2月以降、ファイザー製およびモデルナ製などのmRNAワクチンが各年齢層において順次使用可能となり、特にリスクの高い人に接種が推奨された。首相官邸が4月1日に公表した総接種回数は4億3千万回以上に達し、国民の80%が1回ないし2回の接種を受けている。なお、全額公費による接種は今年3月いっぱいをもって終了している。

国をあげた対策にもかかわらず、2023年4月末までに日本では3380万人が新型コロナウイルス感染症に罹患し、7万4500人がこの感染症を死因として亡くなったとされた(検査陽性=コロナ死とされたことには注意が必要)。

さらに、がんによる死亡など、新型コロナ以外の原因による超過死亡が各国で報告されており、日本も例外ではない。超過死亡とは、過去のデータから統計学的に推計される死亡者数の予測値に対し、実際の死亡者数がそれをどれだけ上回ったかを示す値だ。

がんは日本における主要な死因であり、死亡者全体の4分の1を占めている。京都大学名誉教授の福島雅典氏や医師の宜保美紀氏らからなる研究チームはエポックタイムズに対し、「パンデミック期のコロナ感染以外の超過死亡が諸外国同様、日本でも大きな問題となっており、とりわけ臨床現場や一般の人々の間でがん死亡が増えているのではないかと懸念されていたもののはっきりしなかったため、これに対して科学的に明らかにする必要があると考えました」と述べた。

2021年と2022年にがん死亡率が増加

本研究は、日本におけるさまざまな種類のがんによる年齢調整死亡率(AMR)がどのように変化したかを評価することを目的とした。

AMR(Age-adjusted Mortality Rate)とは、観察集団と基準集団の年齢構成の違いを考慮して補正した死亡率のことで、この調整によって正確な死亡状況が比較しやすくなる。共著者らは、「急速に高齢化する日本では年齢調整を行った上での評価が不可欠であり、また死因別の解析が望まれました」と述べている。

論文のアブストラクト(要旨)には、「パンデミックの最初の年(2020年)には、有意な超過死亡は観察されなかった。しかし、1回目と2回目のワクチン集団接種後の2021年には、いくつかのがんによる超過死亡が観察された」とある。

そして、2022年の3回目のワクチン集団接種後には、特にいくつかのがん種(卵巣がん、白血病、前立腺がん、口唇/口腔/咽頭がん、すい臓がん、乳がんなど)で有意な超過死亡が観察されたという。

日本の直近の3年におけるのがん種別の超過死亡率/過少死亡率(出典:Increased Age-Adjusted Cancer Mortality After the Third mRNA-Lipid Nanoparticle Vaccine Dose During the COVID-19 Pandemic in Japan/Epoch Times Japan製図)

また、死亡者数の多い4つのがん(肺がん、大腸がん、胃がん、肝臓がん)のAMRは、パンデミック初年度の2020年までは減少傾向を示したが、2021年と2022年には減少率が鈍化した。

以下の5つのがん種は、2021年および2022年にAMRが予測値を上回った。(pdf

  • 卵巣がん

2010年から漸減傾向にあったが、2020年から微増、2021年から2022年にかけて大幅に増加し、2021年と2022年にはAMRが99%の予測区間(全体の99%にあたる0.5%〜99.5%の範囲)の上限を超えた。毎月の超過死亡数は2021年から2022年にかけて徐々に増加した。

  • 白血病

白血病の年間AMRは、2010年から徐々に減少または横ばいとなっていたが、2022年には有意に増加し、95%の予測区間(全体の2.5%〜97.5%の範囲)の上限を超えた。毎月のAMRは、2022年1月に99%の予測区間の上限を超え、12月には95%の予測区間の上限を超えた。

  • 前立腺がん

年間AMRは2010年から緩やかな減少傾向にあったが、2021年から増加し、2021年と2022年に95%の予測区間の上限を超えた。月ごとの超過死亡率は2021年と2022年にかけて徐々に増加し、2022年12月には95%の予測区間の上限を超えた。

  • 口唇/口腔/咽頭がん

年間AMRは時間の経過とともに緩やかな減少傾向にあったが、2022年に増加し、95%の予測区間の上限を超えた。月ごとの超過死亡率は、2022年の新型コロナに対する3回目の集団ワクチン接種後にさらに明確に増加し、2022年1月と12月に95%の予測区間の上限を超えた。

  • すい臓がん

2015年のAMRは原因不明の明らかな異常値であったため、解析から除外した。

すい臓がんの年間AMRは2010年から増加し、2020年に95%の予測区間の上限を超え始め、さらに逸脱して2021年から2022年にかけて増加し、99%の予測区間の上限を超えた。月ごとの超過死亡率は2020年から見られ、2020年12月に95%の予測区間の上限を超え、2021年12月と2022年12月にはさらに増加し、99%の予測区間の上限を超えた。

では、なぜこれほどまでにがんが増加したのか?(下)で詳しく見ていく。

大紀元報道記者。東京を拠点に活動。