最新の研究結果によると、植物ベースの食品が全て健康に良いとは限らないことが明らかになりました。植物由来の成分で作られた超加工食品は、健康に悪影響を与え、心臓病や死亡のリスクを高める可能性があるのです。
これまでの研究で、植物ベースの食品はコレステロールや血圧を下げ、体重管理に役立ち、心臓病や糖尿病のリスクを減らし、虚血性心疾患による死亡リスクを下げることが示されています。
植物中心の食事は、植物由来の食品を積極的に摂取し、肉、魚、卵、乳製品の摂取を極力控えることが特徴です。しかし、超加工食品が広く普及する中で、ビーガン用のソーセージやナゲット、バーガー、大豆ミルクや甘い飲料などの植物ベースの飲食品も増えています。加工された植物成分を使ったスナックやお菓子もよく見かけるようになりました。
新型コロナウイルスの流行以降、健康を重視する人が増え、植物ベースの食事への関心が高まっています。植物性食品協会のデータによれば、2022年にはアメリカ人の70%が植物ベースの食品を摂取しており、前年の66%から増加しました。アメリカでの植物ベースの食品の年間売上も大きく伸び、2022年には約80億ドル(約1兆1731億円)に達し、前年から6.6%増加しました。2023年には売上が115億1000万ドルに上り、2024年から2031年にかけては年間約13%の年平均成長率での増加が見込まれています。
超加工された植物由来食品は
心血管疾患のリスクを高める
6月、ランセット地域保健ヨーロッパ版は、超加工植物性食品の摂取と心血管疾患(CVD)や死亡リスクとの間に正の相関があるとする研究を掲載しました。一方で、非超加工植物性食品の摂取はこれらのリスクと負の相関があるとされています。
この研究では、英国バイオバンクに登録された40歳から69歳の約12万7千人のデータを分析し、平均追跡期間9年で、超加工植物性食品による総エネルギー摂取量が10%増加するごとに、心血管疾患のリスクが5%、冠状動脈疾患のリスクが6%増加することが判明しました。心血管疾患による死亡リスクは12%上昇しました。
さらに、非超加工植物性食品による総エネルギー摂取量が10%増加するごとに、心血管疾患のリスクは7%減少し、冠状動脈疾患のリスクは8%減少しました。心血管疾患による死亡リスクは13%、冠状動脈疾患による死亡リスクは20%減少しました。
「超加工食品はしばしば健康食として宣伝されていますが、この大規模研究により、植物性超加工食品は保護的な健康効果を持たず、健康上の悪影響と関連していることが示されました」と、インペリアル・カレッジ・ロンドン公衆衛生学校のEszter Vamos博士は述べています。
その理由は、超加工食品が高い塩分、脂肪、糖分だけでなく、さまざまな添加物を含んでいるからです。
研究の主著者であり、ブラジルのサンパウロ大学の研究者であるフェルナンダ・ラウベル氏は、「植物性であっても、これらの食品は成分や加工方法により、脂質異常症や高血圧などのリスク因子に寄与する可能性があります。これらの食品に含まれる添加物や工業汚染物質が酸化ストレスや炎症を引き起こし、リスクをさらに高めることがあります」と述べています。
したがって、心血管健康を改善するためには、加工度を考慮した植物性食品への転換が推奨されます。
この研究は、超加工植物性食品が心血管疾患に与える影響が重要であり、無視すべきではないという証拠を初めて提供しました。研究者たちは、植物ベースの食事指針が動物由来の食品の摂取を減らすことに加えて、超加工製品の消費を制限する重要性を強調するべきだと呼びかけています。
以前のハーバード大学医学部とブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究では、健康的な植物性食品を多く含む植物ベースの食事が冠状動脈疾患のリスクを減少させる可能性があることが示されましたが、不健康な植物性食品を多く含む食事は逆効果であることが示されました。
しかし、この研究では、全粒穀物、果物、野菜、ナッツ・豆類、植物油、お茶・コーヒーを健康的な植物性食品とし、ジュースや甘味飲料を不健康な植物性食品として分類しており、工業的な食品加工のレベルの影響については特に評価していませんでした。
ヴィーガンにおける
高度加工植物由来食品の消費量増加
植物由来の食品は通常、栄養価が高く健康に良いとされていますが、加工度合いを見落とすと、それらの食品が逆に害を及ぼすこともあります。研究によれば、工業化された植物ベースの肉や乳製品の代替品が増えるにつれ、ベジタリアンが肉食者よりも超加工食品を多く摂取する傾向があるとされています。
2021年に「栄養学ジャーナル」に掲載された研究では、ベジタリアンの食事が必ずしも健康的とは限らないことが示されました。植物ベースの肉や乳製品の代替品など、超加工食品を過剰に摂取するベジタリアンは、肉食者と同様の健康問題に直面する可能性があります。
この研究は、平均年齢56歳の2万人以上の参加者を5年間にわたって追跡調査しました。その結果、4つの食事グループの中でヴィーガン(ビーガン)が超加工食品の摂取量が最も多いことがわかりました。超加工食品による総エネルギー摂取量の割合は、肉食者が33%、ペスコベジタリアン(植物性食品、卵、乳製品、魚介類を食べ、肉を食べない食生活を送る人)がほぼ33%、ベジタリアンが37%、ビーガンが約40%でした。
また、ベジタリアンは不健康な植物ベースの食品を好む傾向があり、その結果、非ベジタリアンと同様の健康問題のリスクがあることが示唆されています。バランスの取れていない食事をするビーガンやベジタリアンは、超加工された不健康な植物ベースの食品を多く摂取するため、過体重や肥満のリスクが高まる可能性があります。
日本食が心血管疾患リスクを低減し寿命を延ばす
日本は世界でも平均寿命が非常に長い国の一つとして知られています。政府の最新データによると、男性の平均寿命は81.5歳、女性は87.6歳となっています。2019年時点で、90歳を超える人口は約206万人に上ります。2023年、The Japan Timesの報道によれば、日本の百歳以上の人口は9万人を突破したとのことです。日本人の長寿は、その食生活のパターンと深い関係があります。
日本食は全体的に軽く、栄養がバランス良く取れています。食材の自然な味を生かすことを基本とし、過剰な調味料の使用を控え、過度な加工も避けるのが特徴です。タンパク質、繊維、ビタミン、ミネラルが豊富で、飽和脂肪や糖質は控えめです。この食事法は、必要な栄養を摂取し、カロリーのバランスを保ち、体重管理をサポートし、がんや心血管疾患のリスクを低減する助けとなります。
The BMJ誌に掲載されたある研究では、約8万人の日本人を10年間にわたって追跡調査した結果、日本の食事指針に忠実に従っていた人々は、全死因による死亡リスクが15%低かったことが明らかになりました。
日本食の5つのカテゴリー
1. 穀類:米、パン、麺など
2. 野菜類:葉物野菜、きのこ、じゃがいも、さつまいも、やまいも、海藻など
3. 魚介・肉類およびたんぱく質源:卵やオーガニックな大豆製品を含む
4. 乳製品:牛乳、バター、チーズなど
5. 果物類:オレンジ、りんご、柿、梨、ぶどう、桃など
これらの食品カテゴリーは、推奨される1日の摂取量の順に並べられており、総カロリーは2000から2400カロリーです。また、ガイドラインでは、水やお茶を十分に摂ること、加工食品や甘いスナック、砂糖入り飲料の摂取を控えることを推奨しています。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。