免疫力を高めるためにビタミンDや亜鉛の重要性がよく取り上げられますが、もう一つの重要でありながら見過ごされがちな栄養素がマグネシウムです。
この必須ミネラルは、私たちの全体的な健康を維持するために重要な役割を果たしています。最近の研究では、マグネシウムがDNAを損傷から保護し、加齢に伴う慢性疾患から守る可能性があるという、もう一つの重要な機能が明らかになりました。
DNA保護におけるマグネシウムの役割
6月に『European Journal of Nutrition』誌に掲載された研究は、マグネシウムの重要性を強調する証拠をさらに増やしています。南オーストラリア大学の研究者たちは、低いマグネシウムレベルがDNAの損傷の増加に関連していることを示し、マグネシウムが加齢に伴う慢性疾患から守る上で特に重要な役割を果たしている可能性があると提案しています。
研究者たちは、172人の中年成人の血液サンプルを分析し、マグネシウムレベルの低さとホモシステイン(血管の老化を促進し、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞などのリスクを高める)の増加との関連性を見出しました。ホモシステインは、認知症、心臓発作、脳卒中のリスクを高めるアミノ酸として知られています。
さらに、血液中のマグネシウム濃度が18ミリグラム(mg)/リットル未満の参加者は、アルツハイマー病、パーキンソン病、さまざまな癌、胃腸疾患、糖尿病など、幅広い健康問題に対してより脆弱であることが判明しました。
さらに、この研究では、マグネシウムレベルが高いほど、ホモシステインが低く、ビタミンB群が高いという関連性も示されており、特に葉酸やビタミンB12が不足している場合に、マグネシウムがホモシステインによるDNA損傷を防ぐために不可欠であることが示唆されています。
このパイロット研究(事前に行う小規模調査)は、表面的には健康に見える中年の被験者において、臨床的に目立たないマグネシウム不足がDNA損傷の増加と関連している可能性を調べることを目的としていました。
栄養ゲノミクスや遺伝毒性の研究で知られるマイケル・フェネック博士は、『エポック・タイムズ』に対し、「私たちが得た肯定的な結果は、他の遺伝毒性因子も考慮に入れた、より大規模な研究で確認される必要があります」と述べています。
また、「マグネシウムはDNA複製やDNA修復の補因子として重要な役割を果たしています」とも付け加えています。マグネシウムはDNAの構成要素であるヌクレオチドの代謝に関与しており、DNAの合成や修復には十分なマグネシウムレベルが必要です。
マグネシウムが重要な理由
マグネシウムは、体内で600種類以上の酵素に欠かせない役割を果たしています。この必須ミネラルは、エネルギーの生成、血圧の調整、血糖値のコントロールなど、私たちの健康を支える重要なプロセスに深く関わっています。さらに、マグネシウムの摂取が不足すると、老化の加速と関連する可能性があることがわかっています。
今回の研究では、全粒穀物、濃い緑色の葉野菜、ナッツ、豆類、ダークチョコレートなど、マグネシウムを多く含む優れた食品がいくつか紹介されました。
フェネック博士は、研究結果が示すように、たとえ軽度のマグネシウム不足であってもDNA損傷や細胞の健康に影響を与える可能性があると述べていますが、そうした損傷を防ぐために必要なマグネシウムの最適な濃度については、まだ明確な結論が出ていないとしています。
さらに、食品やサプリメントから摂取すべき理想的なマグネシウム量や、それが、がんや他の慢性疾患の発症や進行にどう影響するかを明らかにするためには、今後さらなる研究が必要だと指摘しています。
健康の専門家たちが、バランスの取れた食事の重要性を強調する中で、今回の研究は、十分なマグネシウム摂取がもたらす健康効果を再認識させるものとなっています。
マグネシウムを多く含む食品
ニューヨークのノースウェル・ヘルスに所属するハンティントン病院の管理栄養士、ステファニー・シフさんは、『エポック・タイムズ』に対し、マグネシウムは植物性および動物性のさまざまな食品に含まれていると語っています。
シフさんによると、マグネシウムを豊富に含む代表的な食品には次のようなものがあります:
カボチャの種やチアシード
アーモンド、カシューナッツ、ピーナッツなどのナッツ類
ほうれん草、ケール、コラードグリーンなどの緑色の葉野菜
小麦、オーツ麦、大麦、そば、キヌアなどの全粒穀物
大豆製品、豆類、エダマメ、豆腐、白いんげん豆、黒いんげん豆など、豆類製品
サプリメントの選び方
「残念ながら、すべてのミネラルやビタミンの必要量を食事だけで満たすことができる人は多くありません」とシフ氏は言います。マグネシウムの推奨摂取量(RDA)は、男性で400~420mg、女性で310~320mgですが、多くの成人がこの基準を満たしていないと彼女は指摘しています。
「さまざまな野菜、種子、ナッツ、全粒穀物を食べているのであれば、推奨量を満たすことができるでしょう」
「しかし、そうでない場合は、サプリメントを検討しても問題ありません」
シフ氏は、サプリメントを摂取する前に、服用中の薬や既存の健康状態に影響を与えないかを確認するために、医師に相談することを勧めています。また、推奨摂取量を満たすことは重要ですが、それを超えて摂取しても追加の効果は期待できないとも述べています。
グルテン不耐症の人々にとっても、マグネシウムのRDAを満たすことは難しくないとシフさんは指摘しています。単に、グルテンを含む穀物を他の選択肢に置き換えるだけで十分です。
「グルテンフリーの場合、小麦、ライ麦、大麦、またはトリティカーレ(ライムギと小麦の交雑種)製品を避けてください」とシフ氏は言います。「その代わりに、亜麻仁、そば(かしわ、そば粉)、アマランサス、アーモンド粉、そして汚染されていないグルテンフリーのオーツを使いましょう。これらはすべてマグネシウムを豊富に含む良い選択肢です」
(翻訳編集 華山律)
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