「血糖値を下げるには、穀物や糖質を一切とらなければいい」と思っている人もいるかもしれません。確かに、糖質をやめた直後は体重や血糖値が下がることがあります。しかし、5年後や10年後、体にどんな影響が出るか考えたことはありますか?
中国の伝統医学では「穀物は体を養い、肉類は体を補い、野菜は栄養を満たし、果物は体の働きを助ける」と考えられています。特に穀物は、健康を維持するための基本的な栄養源です。
栄養学的にも、穀物は糖質の重要な供給源です。糖質は三大栄養素のひとつで、細胞のエネルギー源となります。さらに、細胞膜やDNA・RNAといった体の基本構造を作るのにも必要です。免疫機能の維持、血液の凝固、生殖や成長、栄養の蓄積など、生命活動のさまざまな場面で欠かせない成分なのです。
そのため、「太るのが心配」「血糖値が上がるのが怖い」といった理由で糖質を完全に避けるのはおすすめできません。大切なのは、何をどのように食べるか、そして適度な運動を組み合わせることです。運動と聞くと「30分や1時間もやるのは無理」と思うかもしれません。でも、最初はたった30秒でも大丈夫。大切なのは、続けることです。毎日少しずつ続ければ、自然と1分、2分と時間が伸びていき、無理なく習慣にできます。
血糖値を下げる7つの食材
日々の食事にうまく取り入れることで、血糖値を下げるのに役立つ食材を紹介します。
- 雑穀粥(きび粥・山芋粥)
お粥は血糖値のコントロールに役立ちます。特に、きび粥や山芋粥がおすすめです。きび粥をじっくり煮ると、表面にとろみのある「米油」と呼ばれる成分ができます。これが胃の粘膜を保護しながら、糖の吸収を助けます。
また、山芋にも血糖値を下げる効果が期待できます。ある医師の友人が、高齢の患者さんに日常的に山芋を食べてもらったところ、血糖値が改善されたという報告があります。ただし、体質による個人差があるため、取り入れる際は医師と相談するとよいでしょう。

- ゴーヤの漢方スープ
ゴーヤは血糖値を下げる食材として知られています。ゴーヤを半分に切り、適当な大きさにカットして、漢方の「四物湯(しもつとう)」と一緒に煮てスープにします。少し苦味がありますが、継続して飲むことで血糖値の改善が期待できます。2〜3日に一度飲みながら、血糖値の変化を確認してみるとよいでしょう。

- 四神湯(ししんとう)
「四神湯」は、体にやさしい漢方スープです。山芋、茯苓(ぶくりょう)、芡実(けんじつ)、蓮の実を基本の材料とし、好みに応じてハトムギを加えることもできます。特に山芋には、血糖値を下げる効果が期待されています。
- ナッツ類
ナッツは、特に2型糖尿病の人の血糖値を安定させるのに役立ちます。アーモンド、ピスタチオ、クルミ、ヘーゼルナッツ、カシューナッツなどが適しています。そのまま食べるのはもちろん、粉状にして全粒粉パンに挟んだり、豆乳に混ぜたりするのもおすすめです。1日ひとつかみ程度を目安に食べましょう。
- 大根
大根は低カロリーで、消化を助ける酵素が豊富に含まれています。胃腸の調子を整え、血糖値の安定に役立つとされています。また、大根に含まれる成分の一部は、インスリンの合成や分泌を助ける働きがあり、糖尿病の管理にもよいとされています。
さらに、大根には水溶性食物繊維が多く含まれており、食後の血糖値上昇を緩やかにする効果が期待できます。また、カルシウムも豊富で、糖尿病患者に多い骨粗しょう症の予防にも役立ちます。
特に「干し大根」は栄養価が高く、より効果的とされています。
大根には腎臓病や心臓病、高血圧の予防にも役立つ成分が含まれているため、健康維持にもおすすめです。昔から「大根を食べて温かいお茶を飲めば、医者いらず」と言われるほど、体に良い食材です。

- もやし
もやしは低カロリーでありながら、食物繊維と良質なタンパク質が豊富です。腸内環境を整え、余分な脂肪を排出する働きがあるため、血糖値のコントロールにも役立ちます。
- かぼちゃ
かぼちゃの果肉には、インスリンの分泌を促す成分が含まれており、血糖値を下げる効果が期待できます。また、かぼちゃに含まれるコバルトというミネラルは、インスリンを作る膵臓の細胞にとって必要不可欠な成分です。適量を摂ることで、インスリンの分泌を正常に保つ助けとなります。
また、かぼちゃに含まれるペクチン(食物繊維の一種)は、余分なコレステロールを体外に排出する働きがあり、動脈硬化の予防にも良いとされています。
(翻訳編集 華山律)
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