以前のように集中力が続かないと感じることはありませんか? 心がいつも気を散らす準備ができているように感じませんか? 深く集中する力を失ってしまったのではないかと思うことはありませんか?
ニコラス・カーは著書『ネット・バカ インターネットがわたしたちの脳にしていること(原題:The Shallows: What the Internet Is Doing to Our Brains)』の中で、現代社会、特にインターネットがどのように私たちを変化させ、文字通り脳の神経回路を組み替えているかを探っています。
ジャンクフードの食生活が肥満の流行を招いたように、常にオン状態で気を散らす情報があふれる不健全な精神環境は、ストレスやメンタルヘルスの問題の増加につながっているのかもしれません。
気を散らすものは昔から存在しましたが、私たちは今、加速した時代に生きているようです。自分たちよりも大きな力に思えるものに立ち向かうことはできるのでしょうか? 幸いなことに、答えは「はい」です。私たちは抵抗でき、成功することも可能です。
私はこれまで気が散ることに悩んでいると率直に話してきましたが、実際のところ、このテーマに真剣に取り組み始めてから、集中力は大きく改善しました。人生のほとんどの分野と同じように、優先順位をつければ驚くほどの進歩を遂げられるのです。
ここで私が学んだ「気を散らすもの」への理解と、今私が集中を保つために使っているフレームワークを共有したいと思います。
なぜ気を散らすものが抗しがたいのか
ほとんどの場合、気を散らす行為の短期的な報酬は、避けようとしている課題よりも魅力的に見えます。なぜそうなるのでしょうか?その理由を理解することは、防御を固めるための大きな準備になります。
気を散らすことは即時の満足を与える。退屈やストレスから一時的に解放されます。他のことを忘れて別の体験に没頭することができるのです。
気を散らすことは認知的努力が少なくて済む。私たちが避けようとしている作業より難しいことに気を取られることはほとんどありません。行き場を失った心は、水が自然に坂を下るように、最も抵抗の少ない方向に流れていきます。
気を散らすことはデジタル環境によって助長される。今の時代、通知、無限スクロールの更新、自分の好みに緻密に調整されたアルゴリズムに囲まれています。それはまるで、自分のためだけに丁寧に用意されたビュッフェで食事しているようなものです。
FOCUSフレームワークの紹介
スティーブ・ジョブズはかつてこう言いました。「人々は集中するということを、集中すべきものに『イエス』と言うことだと思っている。でもそうではない。本当の意味は、他の百もの良いアイデアに『ノー』と言うことだ」
その通りです。集中について考えるのは楽しいことです。なぜなら、明晰さややる気が得られると想像できるからです。しかし、それだけであれば誰もが集中できるはずです。
本当に難しいのは「ノー」と言い、機会を断り、気を散らすものを減らす方向へ環境を作り替えることです。このフレームワークがあなたをその方向に導き、集中した心が人生を変える力を体験できるようになることを願っています。
F: 気を散らすきっかけを見つける(Find Your Distraction Triggers)
どんな時や場所で、あなたは最も気を散らしやすいでしょうか? どんな種類の気の散り方に最も弱いでしょうか? 自分を知ることは重要です。自分の行動に気づくだけで、それを形作るための強力な第一歩になるからです。
多くの場合、気を散らすもの=テクノロジーと考えがちですが、それだけではありません。あなたが時間を浪費しがちな領域すべてについて考えてみてください。
O: 環境を整理して気を散らすものを減らす(Organize Your Environment to Reduce Distraction)
整理の方法は人それぞれですが、私に効果があった例を挙げます。
・ベッドでのスマホのスクロールをやめて、Kindleで読書に切り替える(刺激が少ない)
・ブログ記事を書くときはタブを閉じ、全画面表示にする
・机の上を常に整理し、片づけておく
・その日に取り組むべき重要なタスクを短いリストにして始める
・集中が必要なときはドアを閉めて鍵をかける
C: 気を散らさない仕事時間をスケジュールに組み込む(Create a Place in Your Schedule for Distraction-Free Work)
平日は毎日、深い集中のための時間を2つ確保し、タイマーで計測しています。短い時間は文章を書くため、長い時間は仕事で最も重要なプロジェクトに充てています。残りの業務(メール対応、会議、小さなタスクの処理)は1日の中で片づけます。
U: 集中を助けるツールやアプリを活用する(Use Tools and Apps to Encourage Focus)
スマートフォンにはスクリーンタイムを制限したり、習慣を記録したりする多くのツールがありますが、私が最も気に入っているのは昔ながらの紙です。机の上にいくつかのビジュアル・トラッカー(進捗記録表)を置き、毎日のチェックリストを終えるまでスマホを触らないようにしています。マス目が埋まっていくのを見ること自体が大きなモチベーションになります。
S: セルフケアで努力を持続する(Sustain Your Efforts With Self-Care)
最後のステップとして、私たちが身体を持つ存在である以上、身体の健康状態が心の健康に直接影響を与えることを忘れないようにしましょう。セルフケアという言葉は使いすぎかもしれませんが、本来の意味は「持続的に生き、働けるようにするための実践を見つけること」です。
基本から始めましょう。定期的に休憩をとる、十分な睡眠をとる、体を動かす。これらが集中力を高め、あなたにとって最も意味のある仕事に取り組める基盤となります。
(翻訳編集 井田千景)
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