研究が明らかにしたココアの抗炎症メカニズム 「賢く摂取する」ための専門家ガイド

毎日飲んでいるホットココアは、体を温めるだけの飲み物ではないかもしれません。最新の研究によると、ココアには心臓病や、その背景にある潜在的な炎症を抑える可能性があることが示唆されています。

加齢とともに私たちの体は炎症が起こりやすくなり、それが慢性疾患や死亡リスクの上昇と関係していると考えられています。

大規模な研究では、毎日ココア補助剤を2年間摂取した人々を追跡した結果、全身性炎症が上昇せず比較的安定しており、とくに基準となる炎症レベルが高かった人ほど、その変化が大きかったことが分かりました。

「コスモス研究」では、毎日ココア抽出物サプリメントを摂取することが、心血管疾患による死亡リスクの低下と関連しており、その割合は約27%でした。さらに、心血管イベントのリスクもおよそ7~23%低下する可能性が示され、参加者のリスク水準は「平均的なリスク」から「低リスク」の範囲へと移動した一方、プラセボ群は平均的なリスクのままでした。
 

ココアはどのように「炎症」と関わるのか

この研究では、全身性炎症の指標として広く用いられている「C反応性タンパク質(CRP)」に注目しました。CRPは通常、加齢とともに毎年およそ5%増加するとされ、この現象は研究者の間で「炎症性老化」と呼ばれています。これは、慢性疾患や虚弱、機能低下、早期死亡の要因と関連すると考えられています。

プラセボ群ではCRP値が年平均約5%上昇したのに対し、ココア群では約3%低下しました。一つひとつの数値変化は小さく見えますが、両者を比較すると明確な差があります。2年間のデータを総合すると、ココアは加齢に伴う炎症性老化を有意に抑え、炎症レベルを比較的安定させていました。これらの結果は、標準化された500mgのココア・フラバノール(そのうち80mgはエピカテキン)を含む補助剤を用いた研究に基づいています。

研究の主著者であり、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の医学准教授であるハワード・セッソ博士は、ザ・エポックタイムズに対し、「この結果は、ココアが心血管疾患の主要な要因の一つである炎症を抑えることで、心臓の健康を支える可能性を示しています」と述べています。

また、ココア群では「インターフェロンγ(IFN-γ)」のわずかながらも有意な上昇が確認されました。この物質は抗ウイルス作用を持つ可能性があり、防御的な役割を示唆していますが、健康への具体的な影響については、現時点では明確ではなく、さらなる研究が必要とされています。

これらの結果は、COSMOS-Bloodと呼ばれるサブ研究から得られたもので、心血管疾患やがんの既往がない、平均年齢70歳の健康な高齢者約600人を対象に、2年間にわたって繰り返し血液検査を行い追跡したものです。
 

ココアの抗炎症メカニズム:フラバノールの分子レベルでの働き

ココア抽出物は、CRPの低下と関連し、炎症性老化を抑える働きがあると考えられています。

ココアには天然のフラバノールが豊富に含まれており、これらの化合物が分子レベルで炎症に関与します。フラバノールは、細胞がCRPのような炎症性分子を生成する仕組みに影響を与え、一酸化窒素の生成を促進します。その結果、血管が拡張し、酸化ストレスが軽減され、血管壁の炎症が和らぐと考えられています。

心臓への影響としては、フラバノールが血圧を下げ、血流を円滑に保ち、血管の柔軟性を維持しながら血小板の粘着性を低下させることで、脳卒中や動脈硬化のリスクを下げる可能性があります。複数の臨床試験をまとめたレビューでは、ココアやダークチョコレートの摂取が一酸化窒素レベルの上昇や酸化ストレスの軽減と関連していることが示されています。これらの効果は、1日450mg以上のフラバノール摂取で、より顕著になる傾向が見られました。
 

どのようにココアを摂取すべきか? 専門家のアドバイス

専門家たちは、「すべてのココア製品が同じ効果を持つわけではない」と口をそろえて指摘しています。

セッソ博士によると、多くの製品は加工の過程でフラバノールが失われてしまうそうです。栄養士のメリッサ・ミトリ氏も、「研究では500mgの標準化サプリメントを使用していますが、食品、たとえばダークチョコレートに含まれるココア・フラバノールの量は、製品によって大きく異なります」と補足しています。
 

第一の選択:カカオ70%以上のダークチョコレート、または純ココアパウダー

栄養士カーラ・シードマン氏は、「健康面でのメリットはココアそのものにあります。チョコレートは色が濃いほど良く、70%以上のカカオ含有量を目指しましょう」と勧めています。セッソ博士も、「ココアパウダーのほうが、より良い選択肢となる場合があります」と述べています。

コツ:摂取量を意識し、上手に取り入れる

シードマン氏は、「チョコレートは高カロリーです」と注意を促し、夕食後に「1~2片だけ楽しむ」、あるいは「無糖のココアパウダーをスムージーやオートミールに加える」といった方法で、余分な糖分や脂肪を避ける工夫を提案しています。

戦略:全体的な食生活の質を高める

セッソ博士は、サプリメントだけに頼るのではなく、「ココア、ベリー、紅茶、ブドウなど、フラバノールを豊富に含む食品全体に目を向けることが重要です」と強調しています。

シードマン氏は最後に、「最も望ましいのは、運動と健康的な食事、たとえば地中海食を組み合わせることです。そして何より大切なのは、無理なく続けることです」とまとめています。

(翻訳編集 解問)

執筆活動を始める前、レイチェルは神経疾患を専門とする作業療法士として働いていた。また、大学で基礎科学と専門作業療法のコースを教えていた。2019 年に幼児発達教育の修士号を取得した。2020 年以降、さまざまな出版物やブランドで健康に関するトピックについて幅広く執筆している。