インド政府のドタバタを「白眼視」【1分で読める故事成語】

【大紀元日本4月10日】

「政府ドタバタ 今や世界は白眼視」(SankeiBiz、2012.3.26)

台頭する新興国として世界から期待と称賛を集めてきたインドだが、このところ、相も変わらぬ非効率な政治や進まぬ構造改革に対する批判が目立ち、世界がインド経済に向ける視線は厳しさを増している。最近、綿花輸出をめぐる政府対応のドタバタもあって、世界はインドを「白眼視」していると報じている。

「白眼視」ということばは、「竹林の七賢」の一人、阮籍(げんせき)の故事に由来する。

阮籍は、青眼(黒目)と白眼(白目)を使い分けることができ、礼儀作法にとらわれている俗人と会う時は、白眼で応対した。母親の逝去に当たり、俗人の嵇喜(けいき)がお悔みに来た。阮籍が白眼で相対したため、嵇喜は怒って帰って行った。嵇喜の弟・嵇康(けいこう)はそれを聞くと、酒と琴を持って訪れた。すると、阮籍は大いに喜んで青眼を見せた。これによって、礼儀作法にとらわれている人々は、阮籍を仇のように憎んだ。(『晋書・巻四十九・阮籍伝』より)

ここから、人を冷たい目で見たり、冷淡に扱ったりすることを「白眼視」と言うようになったと言われる。

中国の三国時代末期、政治や名誉などの俗世を離れて、道家思想に基づく哲学談義に興じる知識人たちが現れた。後に「竹林の七賢」と呼ばれる人たちで、その代表格が阮籍であった。彼らは、儒学が重んじる礼儀作法にとらわれることを嫌い、阮籍はそのような人たちに白眼で相対したという次第である。

(瀬戸)