掬(むす)ぶよりはや歯にひびく泉かな(松尾芭蕉)
歌意「夏の炎天下を歩いて、旅をしている。おや、ここに泉が湧いているではないか。その冷たい清水を飲もうと、両手をむすんで掬(すく)い上げただけで、奥歯にしみるような喜びを感じるよ」。
芭蕉の句ですが、いつ頃、どの旅で詠んだのか、はっきりしないのです。元禄2年(1689)8月に『奥の細道』の旅を美濃の大垣で終えた芭蕉は、江戸へすぐには帰らず、京都や近江に滞在します。
江戸深川の芭蕉庵に戻るのは元禄4年10月ですので、あるいは関西圏のどこかで過ごした夏の、旅中の一コマでしょうか。
ペットボトル入りではない本当の天然水のうまさを、現代の私たちは、もう体験できません。芭蕉さんが、うらやましい限りです。
(聡)
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