古代中国の医学書は、病気になる原因として、食べ過ぎ、頻繁に食べること、雑食(いろいろな種類を食べること)を挙げています。食べ過ぎを防ぐために、人々は薄味にし、一日にとる食事の回数を減らしました。例えば、古代中国の人々は、質素な食事を2回とるだけでした。また、規則正しい消化を助けるため、年配の人々は肉を食べることもありましたが、一般的には、人々はあまり肉を口にすることはなかったのです。現代においても、食べ過ぎによる病気が蔓延しています。患者が食事を減らし、野菜などを中心とした生活に切り替えたとたん、病気が治るケースも多々見られます。
心と身体
古代中国では、心と身体はひとつであると考えられていました。不安や怒りなどのマイナス感情は、身体のエネルギーをいち早く消費してしまうため、より多くの栄養素をとらなければならなくなります。一方、心が安定し、欲が少ない人は、少量の食事で済みます。壮健な身体を保ち、滅多に病気になりません。餡の入っていないシンプルな蒸しパンも、落ち着いた心で頂くことができれば、滋養のある食事になります。
安らかな眠り
欲が少ない人は心が静かで安定し、睡眠時間が短くても疲れを感じません。古代中国人は就寝前に一日を振り返り、自分の心を整えて、徳を積んだかどうかを反省します。普段の生活においても他人との揉め事は少なく、常に安定した心を保つことを心掛けていれば、夜にはすぐに眠りにつくことができます。そして朝日が差し込むころには、時計のアラームがなくても自然に身体が目覚めるのです。
心と身体のエクササイズ
現代では、スポーツジムでの筋トレやマラソンなど、身体を激しく動かすエクササイズが流行しています。一方、心のエクササイズについてはあまり重視されていません。古代中国では、健康のために心を鍛錬し、静めることを大切にしていました。心のエクササイズとは、書道・絵画・武術・瞑想・楽器の演奏などで、どれも静かな心を保たなければ上手くなりません。心を清め、静かな心を養うのに非常に効果的なのです。
錢穆(せんぼく、1895 – 1990)という著名な歴史家は、年をとっても目は輝き、身体はエネルギーに満ちあふれていましたが、それは彼が何年も瞑想を続けて、心が静かだったからだと言います。
リラックスとエンターテイメント
多忙な日々を送る現代人は、不安感や気疲れにさいなまれ、心が休まる時がありません。心を癒すはずの余暇には、グルメやスイーツの過食・ゲーム・テレビ・激しいスポーツといったエンターテイメントに興じがちで、リラックスするどころか身体を痛め、エネルギーを消耗させてしまいます。
真にリラックスするには、心の安定、静けさを得ることです。古代中国において、人々は多忙な日々の中にも安らぎを見つけ、どんな仕事をするときも呼吸を静め、集中してから取り組みました。それが最も効率よく仕事を片付け、且つストレスを溜めない方法だったのです。
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