伝統の中国茶 驚きの解毒効果

中国には、「一日の始まりに必要な7つのものがあり、それは、薪、米、油、塩、たれ、酢、おである」ということわざがあります。お茶は中国の文化の一部としてなくてはならないもので、客人にふるまったり、食後にたしなんだり、その長い歴史の中で育まれてきました。

約5,000年前に古代王朝が誕生した当時、中国は、「聖なる世界」と呼ばれていました。その頃、人々は、神と人間が共存すると信じていたのです。

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中国の初代皇帝と言われる伏義は、中国で初めて婚姻制度を確立したと言われており、網を使った漁獲や畜産を後世に伝えたことでも知られています。また、人の体と牛の頭を持つと言われる神農大帝は、別名「農耕の神」と呼ばれ、人々に医療と農耕の術を教えたとされています。神農大帝は、森林の奥深くに足をのばし、野性の植物を探し求めたと言われています。神農大帝の尽力により、365種類のハーブと、多種の果物や野菜、米、小麦、モロコシ、きび、豆の5種類の穀物が世に認識されるようになりました。そうした功績は、後に漢の時代の学者によって、一冊の本にまとめられました。

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神農大帝は、様々な野草や植物の食性と毒性について自身の体で試し、ときには毒にあたって体をこわすこともありましたが、水を沸かし、葉を入れ、口に含み味わうことを繰り返すうちに、自分の体に起きている変化に気づきました。これまでに摂取した毒素が抜けていくのを感じたのです。彼は、効能を感じた葉に「茶」と名付けました。茶とは、「調べる」という意味を表します。後に、「茶」は、今私たちが知っているお茶を表すものとなりました。

周の時代(紀元前1046年~221年)になって、茶は、王族たちに好まれるようになり、解毒の目的で料理に添えられるようになりました。漢の時代(紀元前202年~紀元220年)には、茶は上流階級に飲まれるようになり、特に学者の間で好まれました。宮廷でも茶を飲むことが慣例となりました。

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三国時代(紀元220年~280年)に、軍師である諸葛孔明が茶の栽培を国中に広めました。秦王朝から漢王朝にかけて、様々な茶の入れ方や様式が考案されました。例えば、茶を煮出す代わりに焼いて茶の菓子が作られたり、茶葉を挽いて野菜と混ぜられたりしました。

茶は、隋の時代までは、裕福な学者や官僚がたしなむ高級品でしたが、唐の時代になって、広く一般庶民に広まり、茶こしを使って入れたり、菓子に利用されたりしました。

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唐の時代に、「茶を飲む」文化が開花し、やがて「茶の風味くらべ」へと発展していきました。学者たちはこぞって、宮廷や寺院などで、優雅でかつ厳格な規律を持って茶会を催すようになりました。そのような場では香りや味が良いものが好まれ、珍しい茶器と厳選された水が使われました。

以下は、当時の茶会の手順です。

1.主催者がゲストに敬意を払い、茶を入れる
2.茶をふるまう
3.茶を受け取る
4.茶の香りを楽しむ
5.茶の色を誉め、味わう
6.三回味わった後、ゲストが茶の感想を述べて、主催者の提供した茶の質について語り合う
7.景色を楽しみ、語り合い、詩を書く

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中国の茶の文化を語る際には、唐の学者、「茶の哲人」と呼ばれる陸羽を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。陸羽は、生涯を茶の芸術に捧げた人で、「茶道」を生み出し、茶にまつわるすべてを「茶の古典」という論文にまとめました。調和という儒教の精神、真正という仏教の教え、人間と自然の合体という道教の概念に影響を受けた陸羽は、茶は宇宙の調和と統一を象徴するものであり、茶をたしなむことは精神の豊かさに通じるということに思い至りました。

なぜ茶を味わうことが、古代中国の人々にとって精神を豊かにするものだったのでしょうか?

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第一に、人は、茶を味わうことによって、人生の辛さ、苦しさを思いめぐらすことができます。最初はにがく、後からほんのり甘さを感じる茶をたしなむことによって、人生を慈しみ、「辛苦さえも喜びとして受け入れる」境地に達するのです。

次に、人は余計なものを捨てて清廉な心と精神を宿すことが必要で、そうした後に茶の色、香り、味を愛でることができます。静寂の域に達するには、人生を振り返り心を研鑽しなければいけません。茶は、気高い人生を送る道しるべとなるのです。中国の連句が語っています。「一杯の茶は客人をもてなし、質素で清廉な生活は人を不滅の存在へと導く」

明の時代には、茶の入れ方も簡単になり、人々は、ポットで入れたりカップの中に茶葉を入れて飲むようになりました。

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現代では、生活のペースも早くなり、手早く済まそうということから、インスタントの茶が出回っています。人々の健康志向により、カフェイン抜きの茶も登場しました。

時代の流れとともに、茶の文化も多かれ少なかれ忘れられているかもしれません。しかし、「茶の道」が滅びることはないでしょう。

(大紀元日本ウェブ編集部)