中共軍「八一」レセプション格下げか 軍委委員が不在

2026/08/03 更新: 2026/08/03

7月31日開かれた中国共産党(中共)軍の「八一」建軍記念レセプションには、中央軍事委員会の委員が出席せず、レセプションの位置づけが事実上格下げされたとの指摘が出ている。

官製メディアによると、国防部長の董軍が出席し、式辞を述べた。報道は、「中央軍事委員会機関の各部門および北京に所在する軍関係機関の幹部」が出席したと伝えたが、中央軍事委員会副主席の張升民の出席には触れなかった。

過去の報道によると、2023年のレセプションには、中央軍事委員会委員の李尚福、劉振立、苗華、張升民が出席した。

2024年には、中央軍事委員会委員の劉振立、苗華、張升民の3人が出席し、董軍が式辞を述べた。2025年には劉振立と張升民が出席し、董軍が式辞を述べた。

しかし、2026年の報道で名前が挙げられたのは、式辞を述べた董軍だけだった。

李尚福が失脚した後、董軍は2023年12月に国防部長に就任した。しかし、歴代国防部長の慣例と異なり、国務委員にも中央軍事委員会委員にも昇格していない。

中国問題専門家の李林一氏は、中共の慣例では、副国家級以上の高官が会議に出席した場合に、官製メディアが出席者として氏名を挙げると説明した。軍関係者の場合は、中央軍事委員会委員以上の幹部が対象になるという。

このため、過去の建軍記念レセプションには、現職の中央軍事委員会委員が出席し、官製メディアもその氏名を報じてきた。

しかし、中共第20期中央軍事委員会のメンバーは年々減少し、現在、軍内で実務を担う中央軍事委員会幹部は、副主席の張升民だけとなっている。李氏は、異例の状況だと指摘した。

李氏によると、張升民はすでに中央軍事委員会副主席であり、軍の実務を取り仕切る唯一の中央軍事委員会幹部でもある。このため、従来は委員級が出席していた行事に、副主席として参加するのは格式上難しいという。一方、董軍は中央軍事委員会委員ではない。このため、中央軍事委員会委員が誰も出席しない形となり、建軍記念レセプションは事実上、格下げされた。

また、こうした状況は、習近平による大規模な粛清によって、中央軍事委員会の人事が機能不全に陥った結果だと述べた。

台湾国防安全研究院・国防戦略資源研究所の蘇紫雲所長は大紀元に対し、人事粛清の影響は明らかだと語った。

昨年の建軍記念レセプションでも、各テーブルに空席が目立っていたことが注目されていた。今年はその傾向がさらに顕著になり、官製メディアの報道も、中央軍事委員会主席への権力集中を際立たせる内容になったと指摘した。

台湾の政治学者、孫国祥氏は、董軍は現在も習近平にとって引き続き起用可能な人物ではあるものの、過去の国防部長のように、中央軍事委員会委員や国務委員としての政治的地位を持っていないと述べた。

魏鳳和と李尚福が相次いで失脚したことで、国防部長という地位の安定性は大きく低下したという。

中国政界に詳しい楊山さん(仮名)は、董軍が現在まで国防部長の地位にとどまっているのは、習近平が軍は安定しているとの対外的な印象を維持するためだと指摘した。

別の人物に交代させても、後任が董軍以上の適任者になるとは限らず、董軍は軍事面の専門性も比較的高いという。ただし、国防部長の座に残っているからといって、習近平から信頼されていることを意味するわけではないと述べた。

董軍は建軍記念レセプションでの式辞で、いわゆる「習近平強軍思想」を強調し、中央軍事委員会主席責任制を徹底すると表明した。さらに、軍は「党の指揮に従い、党と歩調を合わせる」べきだなどと訴えた。

独立系評論家の蔡慎坤氏はXへの投稿で、董軍がこうした強い忠誠表明を繰り返す背景には、深刻な政治的現実があると分析した。

習近平は権力を握ってから14年が経過した今も、軍を完全には掌握できておらず、軍内に残る政治的な不安定要因が、長期政権にとって最大の脅威であり続けているという。

内モンゴル自治区の元官僚、杜文氏もXへの投稿で、習近平が権力を握って14年がたっても軍を完全に掌握できていない理由について、制度の問題を個人への権力集中によって解決しようとし、専門能力より政治的忠誠を重視し、組織の機能不全に度重なる粛清で対応してきたためだと分析した。

杜氏は、習近平は軍権を握ったものの、信頼関係を築くことはできず、軍幹部を服従させても、軍の結束を築くことはできなかったと指摘した。

唐兵
駱亜
中国語大紀元の記者、編集者。
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