現代人には、普遍的に「亜健康」の問題があると言われています。
亜健康とは健康と病気の中間に存在する概念で、「病気とは言えないまでも、明らかに体調がすぐれない状態」を指します。
「炎症」は体の異常を示すシグナル
炎症も亜健康に属するものです。
慢性炎症は体の異常を示すシグナルですので、できるだけ早く、適切に治療すべき症状です。さもないと、心血管疾患、アルツハイマー型認知症、関節炎、アレルギー、糖尿病、各種がんなど、重大な病気を招く可能性があります。
最も典型的な例は、口腔がんでしょう。台湾の嗜好品であるビンロウ(檳榔)を噛むと、口のなかに刺激を感じ、軽い興奮や酩酊感をもつようになります。そこで止めることなくビンロウ噛みの習慣を続けてしまうと、口腔に慢性的な炎症が生じ、潰瘍ができて白っぽくなってきます。
ビンロウには依存性や発がん性があることが知られています。ビンロウによる口腔内の炎症や潰瘍が、やがて口腔がんの原因になる可能性は否定できません。
また食道がんは、熱いスープを好んで飲んだり、胃食道逆流などで何度も食道が刺激されて、食道内の炎症が長期化すると発生しやすいとも言われています。
いずれにしても、慢性的な炎症がある箇所は、将来がんになるリスクが高まっている部分なのです。また、炎症によって全身の免疫力が低下すれば、ウイルスや細菌に対する抵抗力も下がります。
まずは食事を「今日から改善」
慢性炎症は毎日の食事、生活習慣、居住環境、気候などにも関連する症状です。
そのため、原因となる危険因子を特定するのは難しいですが、そのなかの食事については、今日からでも意識して改善することができます。
慢性炎症を改善する食物を5つ、以下に示します。
1、全粒穀物
玄米、オートミール、アワ、トウモロコシ、ライ麦、蕎麦などの全粒穀物は、慢性炎症を防止し、炎症の改善に有効であることが医学界からも認められています。
主食となるこれらの食材は、炭水化物のほかにビタミンB群、ビタミンCおよび微量元素を含みますので、抗酸化、抗炎症作用があります。
白米のご飯に慣れている人は、白米に適量の玄米を混ぜて食べることを、週1~2回から始めてみてください。
2、濃緑色の葉野菜
抗炎症野菜としては、次のようなものがあります。
ほうれん草などの濃い緑色の葉野菜。キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなどのアブラナ科の野菜。ナス、紫キャベツ、紫サツマイモなどの紫色の野菜。海藻類の海苔。
トウガン、キュウリ、スイカなどの瓜類。名前に「椒」の字がある辛味野菜のピーマン(青椒)、トウガラシ(辣椒)など。ニンニク、タマネギ、長ネギ、ニラなどの香味野菜。
濃緑色の野菜や紫色の野菜には、抗酸化物質であるビタミンC、フィチン、マグネシウムなどが含まれています。とくにマグネシウムは神経を安定させる働きがあり、神経系が正常であれば副交感神経の働きが高まり、炎症を抑えることができます。
ピーマン、唐辛子などの野菜の色が濃いのは、フィトケミカルが豊富に含まれていることを表しています。瓜類の野菜は、体内の「火」を沈めて体を冷やす作用があるため、抗炎症の作用があります。
3、ベリー類
イチゴ、ブルーベリー、クランベリー、ラズベリーなどのベリー類には、ビタミンCやアントシアニン、マグネシウムなどが豊富に含まれており、がんなどの慢性疾患の予防に効果的です。
ベリー類のほか、リコピンを含むトマト、アントシアニンを含むブドウも炎症を抑えるのに良い食物です。酵素を多く含むパパイヤやパイナップルは、炎症を抑えるだけでなく、体内のデトックス(解毒)を促進することができます。
4、ナッツ類
市販されているジャンクフードのスナックには、砂糖や食塩、飽和脂肪酸が大量に含まれているので、多く食べてはいけません。
おつまみにナッツ類を食べるのは健康的な選択ですが、食塩を摂りすぎないように、無塩のナッツを選ぶと良いでしょう。ヘーゼルナッツ、アーモンド、くるみ、カボチャの種、カシューナッツなどがお薦めで、不飽和脂肪酸のオメガ3、オメガ6、オメガ9がバランス良く含まれています。
5、お茶
抗炎症の飲む物としては、無糖のお茶が第一の選択肢となるでしょう。市販の甘い飲料は、大量の砂糖が入っているのでお薦めできません。
緑茶、紅茶、ウーロン茶、プーアル茶などのお茶をお薦めします。これらのお茶はフラボノイドを含み、炎症をよく抑えて、血管を活性化します。
市販されている茶飲料は、工業的に抽出した茶精(茶のエキス)を原料としている場合があるので、できるだけ自分で茶葉からお茶を淹れて飲むようにしてください。
その他の注意点として、水分を十分に補給することを忘れないでください。成人の1日の水分摂取量は約1500~2000ccです。
精製された食物は、より多くのフリーラジカルと毒素をつくり、炎症というかたちで体に大きな負担をかけます。
それが慢性化すると、いつか重大な病気を招くことにもなります。
普段の飲食には、できるだけ精製や加工度の少ない自然食品を選択するとともに、過度な味付けや農薬、添加物を避けるよう、ぜひ今日から実行してみてください。
(翻訳編集・鳥飼聡)
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