「自分の憂うつに別れを告げるために」10種の天然療法が有効です(2)

(前稿より続く)
 

4、「善い行い」を積む

「善行を積む」という行為は、それを自分の目的とするのではなく、他者へ向ける無私の優しさとして自然に表現されなければなりません。

あなたが、道端で困っている人を助けてあげたとします。思いがけず親切を受けた相手が、ぱっと表情を明るくするのを見た瞬間、あなたの心の中にも温かい気持ちが湧いてきます。

この感覚は、すぐに消えるものではありません。こうした純粋な善行は、自身の脳と体の健康を促進し、その人の寿命さえ延ばすことが研究で分かっています。

ただし、繰り返しますが、自分の抑うつ症状を改善する「目的」のために、意図的に人に親切にしようとしても、全く効きません。善行に、不自然さがあってはならないからです。

 

5、クラシック音楽を聴く

「私の診察室では音楽を流しています」

そう語るのは、台北上海同徳堂の漢方医師である胡乃文氏です。

「流れているのは、ゆったりとした中国の古典音楽で、伝統楽器の音色のなかに、やわらかな木魚の音が響きます。長い間ぐっすり眠れず困っていたのに、ここに座って音楽を聴いているうちに眠ってしまいましたよ、と言った患者さんもいました」と、胡乃文氏は述べます。

音楽は、人の情緒に大きな影響を与えるものです。静かな良い音楽は、脳内にエンドルフィンやドーパミンなどの物質を放出させ、神経の緊張を緩めて、心の喜びを高めます。そのため近年、「音楽療法」は、うつ病などの精神疾患に対する重要な治療方法となっています。

しかし、すべての音楽が心身に良いわけではありません。音楽の種類によってはかえって神経の興奮を招き、抑うつ症状を悪化させる場合もありますので注意が必要です。

西洋音楽のなかでは、ハイドン、モーツァルト、ベートーベンなどのクラシック音楽を聴くことが薦められます。クラシック音楽の多くは比較的穏やかであり、現代音楽のように騒々しく、感情を刺激する音は多くないため、心身の癒しに有益だからです。

 

6、坐禅をする

ストレスが多く、イライラしがちな生活をしている人は、毎日わずかな時間を作ってでも、静かに坐禅(座禅)してみるのもいいでしょう。

この時間は筋肉をリラックスさせ、雑念を取り除くだけでなく、高ぶった感情を穏やかに静めて、心楽しいひと時になるはずです。

坐禅は、エンドルフィンの生産を促す優れた方法です。
今から4年前の2018年6月23日、タイ北部の洞窟が水没して、少年サッカーチームの12人とコーチ1人が閉じ込められるという大事故が起こりました。

僧侶の経験があった25歳の若いコーチは、少年12人に坐禅を指導して実践させました。坐禅を続けた13人は、閉ざされた洞窟という極限状況のなかでパニックを起こさず、正常な精神を保ち続けたのです。

そうして17日間を生き抜き、救助側に殉職者1名が出たものの、13人全員が救助されるという理想的な結果を得ることができました。

瞑想の専門家であるリア・ワイス博士によると、「瞑想は痛みを和らげ、炎症反応を減らすことができる」と言います。坐禅の習慣を身につけることで、精神が安定し、病気の予防や改善に役立てることができます。
 

(次稿へ続く)
(翻訳編集・鳥飼聡)
 

柯弦