———アメリカ有名レディースファッションブランド「ペル」の副社長、ゾウ・リーさんのインタビューより

華麗なるCEOの私生活(第5章)

(前章に続く)

「私は聖人ペテロではありませんか?」

ゾウ・リーさんは今でも思い出します。その日の仕事が終わると、買ってきたCDを車のプレーヤーに入れ、李洪志師父の説法を聞き始めたことを。彼女の家はクリスチャンでしたが、彼女の家の使用人たちは皆、仏教を信仰していたので、神仏に馴染みがありました。しかし、まさか法輪大法がクリスチャンである彼女を説得してくれるとは思ってもみませんでした。彼女の乾いた大地のような心は、長い間望んでいた甘露を受け、幼い頃から教会や生活の中で解決できなかったすべての問題を瞬時に理解しました。

一時間後、彼女はニュージャージー州にある自宅に着きました。彼女は車道に車を停め、静かにそのまま座り続けます。車から降りるのも忘れて、師父の説法に聞き入りました。「ああ、なんて正しいんだろう!」と 彼女は太ももを叩きながら独り言を言いました。

彼女は幼い頃、いつも死を恐れていたことを思い出しました。如何にして良い人になれば天国に行けるのか、もし死んだ後に地獄に行くことになったらどうすればいいのか……。でも今日やっとわかったのです。人はどこから来たのか、そして、どこに行くのか、この地球上に何のために来たのか……。

すべてが明らかになりました。時折、録音から拍手が起こり、車の中のゾウ・リーさんも「そうそう、その通り!」と一緒に拍手をしました。最後には手のひらが真っ赤になっていました。 

彼女が9つの講義の録音を聞き終えた時には、もう夜が明けていました。彼女は一晩中車の中で座っていましたが、全く疲れを感じていないことを不思議に思いました。それだけでなく、衝撃的な感情に完全に支配され、心の中で叫びました。「これはすごいことです!  この人は生きているイエスではないでしょうか」と。彼女には他の考えが浮かびませんでした。彼女はイエスを信じている家の子として、イエスこそが唯一の神だと考えていました。

「これはイエスが2000年後に戻ってきたということ?  この李洪志先生こそ現代のイエスなのでは?  彼は再び人々を救うために降りてきたのね!」。ゾウ・リーさんは衝撃と興奮を覚えました。「彼はまだ人間界にいるのね。私もまだ生きていて、彼の説法を聞いている。それなら……私は現代のペテロになるのでは?   ああ、なんと誇り高きことでしょう!  私は聖人ペテロなのね。なんて光栄なことでしょう!」

ゾウ・リーさんは興奮して車から降り、家の中に入り、顔を洗いました。彼女は久しぶりにトニーのことも、第三者のことも忘れていました。今日得たものに比べれば、そんなものは小さく、遠い存在で、本当に忘れてしまうほどでした。今まで心の奥底に埋もれていた恨み、不安、心配が一気に消えました。さらに不思議なことに、彼女は一晩中車に座っていても、腰は全く痛みを感じず、空を飛びたくなるくらい嬉しい気持ちになっていたのです。

彼女はまず、ボストンの大学に進学した長女のことを思い出し、電話でこの素晴らしい出来事を伝えました。次に、彼女の両親、そして仕事を終えるとすぐに同僚にも話しました。彼女はこのような世界の一大事を知るのが遅れたことに耐えかねて、会う人ごとに声をかけました。

「あなたは法輪功を知っていますか?  法輪功について聞いたことがありますか?」

次の日、彼女は万さんからもらったパンフレットを、通りかかった場所に貼っていきました。彼女はこの素晴らしい福音を世界に伝えたいと思ったのです。

ある日、ゾウ・リーさんはジュディの話を思い出し、もらったCDを取り出すと、あの日ジュディが言った通り、2人の男性が彼女に素晴らしいものをもたらしてくれたのです。そして彼女は、ジュディが最後に言った言葉を思い出しました。

「今後あなたはここに来る必要はありません。もう私を頼らなくていいのです」

この時、彼女はジュディが言ったことを完全に理解しました。今、彼女は李洪志師父の弟子となり、宇宙大法を修煉し始め、占い師が予言できる範囲を超えてしまったのです。

離婚の波 再来

その後ゾウ・リーさんはいつも考えていました。少なくとも1つの事に関して、ジュディの予言は外れていたと。それは彼女とトニーの関係についてです。2006年の冬、トニーはアメリカに戻り、彼女と2人の子供たちとクリスマスを過ごしました。その日が、家族全員で過ごす最後のクリスマスでした。トニーはついに「何もいらない、身一つで出ていく」と離婚を切り出しました。

子供たちのために最後の努力をしようと思ったゾウ・リーさんは、トニーのために、そして家族のために、強い女でいるのをやめる決意をしました。そして、彼女はトニーに向かって言いました。

「私はせっかちな性格だけど、今後は気を付けます。私たちは子供の頃から一緒にいて、大切なことで意見の相違はありませんでした。離婚しないでほしいのです ……えぇ、私はあなたが浮気していることを知っています。でも、子供が小学校を卒業するまで待ってくれませんか?  影響を与えたくないのです。まだ小さいから……」

「無理だ」。トニーは彼女の話を遮りました。「今すぐに離婚したいんだ……」

ゾウ・リーさんはどうすればいいのか分かりませんでした。この時、上の娘が言いました。「お母さんが離婚しなくても、妹は同じようにお父さんがいない、だってお父さんは家に帰ってこないじゃない……」

ゾウ・リーさんは、法輪功の本に書かれている言葉と照らし合わせ、人と人との関係は全て前世に基づいているということを知っていました。彼女は、これは以前の借りを返しているのだと心の中で思いました。

世の中でどれだけの夫婦が別れることになったのでしょうか?  どれだけの人が自分の運命の不幸を嘆いたことでしょうか?  なぜ人々は、一生働いても、貧困に苦しむのでしょうか?  そして彼女のように成功し、裕福になる人がいるのでしょうか?……ゾウ・リーさんは最も大切な結婚が破綻する前に、法を聞き、迷いの霧から抜け出ることができました。

そこで、彼女は離婚に同意し、トニーの意見を尊重することに決めました。

義理の両親が目の前でトニーと第三者を非難しても、ゾウ・リーさんは彼らを説得し、娘が父親を恨み、一生無視すると言っても、子供を慰めようとしました。

嵐は再び起こる  善が悪縁を解く

ある日、二人が離婚の手続きをしていると、トニーは突然、家がほしいと言い出しました。その家は、何年も前に二人が上海の世貿濱江花園で購入したものです。世帯主はゾウ・リーさんで、場所を決めたのも彼女です。近年、上海の不動産価格は高騰しており、この家はすでに数千万円の価値がありました。

ゾウ・リーさんは、自分の人生のすべてを捧げてきた唯一の男が、自分を裏切り、今度は自分の家を欲しがっているのを見て、師父の言葉を思い出しました。「他人が私たちにひどい扱いをしても、私たちは他人に同じようにしてはいけません」「あなたは自分の敵を愛せなければ、円満成就することはできません」。

師父の慈悲の言葉は、心の中にある最後の憤りを太陽のように溶かし、彼女は穏やかに「いいですよ。持って行ってください」と答えました。彼女は瞬きもせずにこの決断を下し、両家の誰もが衝撃を受けました。トニーも例外ではありません。彼は彼女が了解するとは思っていなかったので、信じられないような表情で「ありがとう!」と感謝の気持ちを伝えました。

「感謝したいなら、私たちの師父に言ってください」と彼女は言いました。「あなたも私が以前どうだったか知っているでしょう。もし私が法輪功を学んでいなければ、今回のことを簡単に許すと思いますか?  この家を渡すと思いますか?……」

彼女の目の前には、かつて夫を奪われ、絶望し、嫉妬に満ちた女性が映し出されました。今、その女性は遠くへと消えていきました。ゾウ・リーさんの心は突然、熱い気の流れによって膨れ上がり、水霧の層となって目を覆いました。彼女は運命によって法輪大法と出会い、その出会いに心から感謝しました。そして、大法から得た寛容と慈悲の心を身近な人に伝えたいと思いました。

トニーに家を譲渡する過程で、彼女は何度も法輪大法を薦めました。彼もゾウ・リーさんが以前はとても体が弱かったことを知っていました。しかし、大法を学んでから、すべての病気がなくなっただけでなく、物を運ぶ力もトニーより強くなったのです。明らかに彼が不倫しているのに気づいていても、彼女は離婚に応じ、決して彼に迷惑を掛けることはありませんでした。今では高価な家まで彼に譲りました。どんな力が一人の人間をこんなに善良にしたのでしょうか? しかし、中国共産党は法輪功を厳しく弾圧していたので、彼は中国で法輪功を学ぶ勇気がありません。

(つづく)

注:この物語中の人物名や会社名は実在のものではありません。

 

呂琴兒