人が自然とする「あくび」。その原因や役割については、科学的にもまだ完全には解明されていません。普段の生活でよく見られるこの現象ですが、実は驚くべき発見や興味深い文化的背景があるのです。
あくびの基本と科学的謎
一般的に、あくびは眠気や疲労、酸素不足が原因と考えられています。しかし、米プリンストン大学で行われた研究では、あくびが脳を冷却する役割を持つ可能性が指摘されています。脳の温度が上昇するとパフォーマンスが低下しますが、あくびをすることで血流を促し、効率的に冷却するのではないかと考えられています。
また、あくびがうつる現象(PDF)についても、共感性との関連が注目されています。他人のあくびに反応するのは、社会的なつながりを深める一環ではないかという説があります。動物でもこの現象が見られ、たとえばオオカミの群れでは、リーダーのあくびが仲間に伝わり、行動の同期が取れることがあるそうです。
動物もあくびをする?
あくびは人間だけのものではありません。猫や犬、蛇、鳥、さらには魚もあくびをすると言われています。そして、驚くべきことに、胎児も11週目頃からあくびをすることが確認されています。これが何のために行われるのかは不明ですが、進化的な意味があるのかもしれません。
世界のあくびにまつわる文化や迷信
あくびには、国や文化ごとにさまざまな言い伝えや迷信が存在します。
- ギリシア:あくびをすると魂が逃げ出すと考えられ、必ず口を覆うべきだと言われています。また、悪魔が口から入り込むという考えもあり、口を覆う習慣はこの信仰に由来するかもしれません。
- 日本:「あくびをする時は失礼にならないよう口を隠すべき」とされていますが、これも文化的な礼儀の一環として興味深いです。
あくびの意外なトリビア
あくびを我慢できる?
会議中にあくびを我慢しようとして、かえって目立ってしまった経験はありませんか? 実は、あくびを完全に抑えるのはほぼ不可能とされています。これは体が自然に求める反応だからです。
あくびは健康のサイン?
実は、あくびが多すぎる場合、健康上の問題の可能性も考えられます。たとえば、睡眠時無呼吸症候群や貧血、慢性的な疲労などが原因となることがあります。普段より頻繁にあくびが出る場合は、一度専門医に相談してみるのも良いかもしれません。
あくびという一見単純な行動にも、科学的な謎や進化の秘密、さらには文化的な背景が詰まっています。次にあくびをした時には、この記事で学んだことを思い出してみてください。そして、あくびが他の人にうつる瞬間を観察するのも、ちょっとした楽しみになるかもしれません!
(翻訳編集 柴 めぐみ)
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