研究者たちは、病気診断の伝統的な技術を用いて、5千枚以上の舌の写真を使ってAIアルゴリズムを訓練しました。
「この研究で最も興味深い洞察の1つは、舌の色が内臓の病気を正確に反映できることです」
と、南オーストラリア大学(UniSA)の准教授で、この研究の主任著者であるアリ・アルナジ氏はエポック・タイムズへのメールで述べています。
「舌の色を分析することで、さまざまな健康状態を特定でき、この方法が体にメスを入れたり、皮膚を傷つけたりすることなく、体内の状態を評価・診断することにおいて有望であることを示しました」
と彼は語っています。
このアルゴリズムは、98%の精度で病気を検出できます。研究者たちは、舌の色に基づいて、糖尿病、脳卒中、虫垂炎、消化器系の問題、がんなどの病気を特定しました。
この新技術は、『Technologies』誌の6月号に詳述されており、伝統的な中国医学(TCM)に基づいています。TCMは何千年にもわたって舌を診断の重要なツールとして使用してきました。この研究結果は、シンプルな舌のスキャンが、病気の診断やその進行を追跡するための低コストでメスを入れたり、皮膚を傷つけたりすることなく、体内の状態を評価・診断することメスを入れたり、皮膚を傷つけたりすることなく、体内の状態を評価・診断するツールになる可能性を示唆しています。
研究の詳細
この研究では、人間の舌が体内の臓器と関連する特徴を持っており、色、形、厚さなどが病気の発見や進行状況の追跡に役立つとされています。
「舌は体内の状態を反映しており、全身の健康やさまざまな病気の手がかりを提供します」と、南オーストラリア大学(UniSA)のアリ・アルナジ氏はエポック・タイムズに語っています。
アルナジ氏は、さまざまな舌の色とその関連病状について以下のように説明しています。
糖尿病の人は黄色い舌を持っています。
がん患者は、厚い脂っぽいコーティングのある紫色の舌を示します。
急性脳卒中患者は、形が異常な赤い舌を持っています。
白い舌は貧血を示す可能性があります。
重症のCOVID-19患者は、深紅の舌を持っている可能性があります。
インディゴや紫色の舌は、血管や消化器系の問題、または喘息を示唆します。
南オーストラリア大学とイラクのMiddle Technical Universityの工学研究者たちは、5,260枚の舌の画像を使用して、AIがさまざまな照明条件下で舌の色を検出し分析できるように訓練しました。
研究者たちは、7つの色クラス(赤、黄、緑、青、灰、白、ピンク)を用いて6つの機械学習アルゴリズムをテストし、最も精度が高いものを特定しました。診断精度は約91%から99%の範囲であり、最も精度が高いアルゴリズム(98.71%)であるXGBoost(Extreme Gradient Boosting:機械学習における勾配ブースティング手法を強化したオープンソースのアルゴリズム。特に構造化データを扱う際に非常に強力であり、予測精度の高いモデルを構築できる)が選ばれ、舌の色と関連する病気を特定するための視覚ユーザーインターフェースに接続されました。
その後、このシステムは中東の2つの教育病院から提供された患者の舌画像60枚を使って、リアルタイムでテストされました。これらの患者は、糖尿病、真菌感染、喘息、貧血、舌乳頭の感染、COVID-19などの病気を抱えていました。
研究チームも、このアルゴリズムの精度に驚かされたと述べています。
「特にリアルタイムの状況や照明の違いがある中で、このシステムの正確さには驚きました。舌の色を検出する際の98%を超える高い精度は、AIによる舌診断の有効性を示しています」とアルナジ氏は『エポック・タイムズ』に語りました。
「私たちのアルゴリズムを使うことで、舌の色に関連する糖尿病、真菌感染、喘息、COVID-19、貧血などの病気を予測することができました。それぞれの病気は、システムが正確に検出できる独自の色パターンを示しました」と彼は付け加えています。
この研究では、患者から20センチ離れた位置に設置されたカメラを使用して、舌の色を撮影し、そのデータをリアルタイムで分析して健康状態を予測しました。
南オーストラリア大学の教授であり、共著者でもあるJavaan Chahl氏は、将来的にはスマートフォンでこの方法を使って病気を診断できるようになると予測しています。
「この結果は、コンピュータによる舌分析が、病気のスクリーニングにおいて安全で効率的、使いやすく、手頃な価格の方法であることを確認しており、現代の診断方法を数世紀にわたる伝統的な技術で補完するものです」とChahl氏はプレスリリースで述べています。
中医学における舌診断
上述の研究は、中国医学で長く用いられてきた伝統的な診断法に基づいています。このシステムでは、舌の色、形、コーティング、湿度など、さまざまな側面を観察することで、体内の臓器の状態を視覚化し、病気を診断し、その予後を予測します。
2018年に亡くなったジョバンニ・マチオーチャ氏は、中国医学の著名な著者、講師、そして実践者であり、世界中の大学で使用されている多くの教科書を執筆しました。その中には、舌診断に関する著書も含まれています。
「舌の観察は診断の柱であり、患者の不調を明確に示す手がかりを提供します。舌診断は非常に信頼性が高く、複雑な状態で矛盾する症状が見られる場合でも、舌はほぼ常に基本的かつ根本的なパターンを反映します」と、彼は著書『The Foundations of Chinese Medicine(中国医学の基礎)』で述べています。
最後に
このスクリーニング技術がどのくらいでクリニックや病院に導入されるかについて、アルナジ氏は数年以内を期待していると述べています。
「この技術は有望であり、非常に大きな可能性を示していますが、臨床で広く採用される前には、さらなるテストや検証、そして規制当局の承認が必要です」と彼は締めくくっています。
(翻訳編集 華山律)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。