衛生や鮮度を保つため、生鮮肉類をプラスチック袋で真空包装して冷凍保存することがありますが、魚も例外ではありません。中には、解凍するときに真空包装のまま電子レンジや熱湯で加熱する人もいます。しかし、専門家はこれが誤った方法であり、ボツリヌス中毒のリスクを高めると指摘しています。
『ハフィントン・ポスト』によると、真空包装された冷凍魚を電子レンジや熱湯で直接加熱してはいけないことを知らない人は少なくありません。最近、あるインフルエンサーが食品安全に関する短い動画をSNSに投稿し、急速に話題になりました。
あるネットユーザーは「毎日新しいことを学びます。自分がどうやって今まで生きてこられたのか不思議になるほどです」とコメントしています。
この問題について、アメリカラトガース大学の食品科学の専門家であり、ポッドキャスト番組『食品安全講座』の共同ホストでもあるドナルド・シャフナー氏は、ボツリヌス中毒はボツリヌス菌によって引き起こされる病気だと説明しています。「これは嫌気性菌で、酸素のない環境でのみ増殖するため、真空包装が問題になるのです」
シャフナー氏は、プラスチック包装という酸素の少ない環境で魚を長時間かけて解凍するほど、ボツリヌス中毒のリスクが高まると述べています。
さらに「魚の温度が上がるにつれて、ボツリヌス菌の芽胞が成長を始める可能性があります。芽胞が成長すれば発芽して細胞が形成され、その細胞が毒素を産生します。そうなると、ボツリヌス中毒による健康被害が起きる可能性が出てくるのです」と説明しています。
アメリカ疾病管制予防センターは、汚染された食品はボツリヌス中毒の一般的な原因で、多くの場合、自家製の缶詰や漬物、発酵食品が関係すると指摘しています。
食べ物によるボツリヌス中毒の症状は、軽い食中毒の腹痛とは全く異なり、汚染された食品を口にすることで嘔吐、吐き気、下痢、筋力低下、呼吸困難などが起こります。
シャフナー氏は、ボツリヌス毒素は「神経終末に不可逆的に結合する」と述べ、毒素量が多ければ麻痺を引き起こすといいます。最も重症の場合、肺が麻痺して窒息に至ることもあります。

冷凍魚をより安全に解凍するには?
冷凍魚をより安全に解凍するには、まず真空包装から取り出すことが最も重要です。こうすることで、解凍中に酸素の少ない危険な環境に魚を置かずに済みます。
シャフナー氏は、冷凍魚を購入して帰宅したら、すぐにプラスチック包装から取り出すと話しています。その後、別の容器に移して冷蔵庫で一晩かけて解凍するそうです。翌日になっても魚がまだ硬い場合は、電子レンジの解凍機能を使うと良いとしています。
もし真空包装から取り出し忘れても、すぐに悪くなるわけではありません。真空包装されたままの冷凍サーモンを室温のカウンターに1〜2時間置いて解凍してしまっても、食べることは可能です。
ただし、シャフナー氏は「2時間を過ぎると少し心配し始める」と述べており、4時間置いたらさらに不安が増し、一晩置いてしまった場合は廃棄すべきだと言います。
これは「危険温度帯」とも一致します。アメリカ食品医薬品局(FDA)は、食品を 4.4〜60℃ の温度帯で2時間以上放置しないよう警告しています。この温度帯では細菌が急速に増殖するためです。
(翻訳編集 解問)
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