アメリカが情報開示した資料によると、中共は1965年から1997年まで、パキスタンの核兵器開発をひそかに支援していたという。外電の伝えるところによれば、リビアがIAEA(国際原子力機関)の調査員に渡した文書の中に、パキスタンがリビアに提供した核兵器の製造に関するものがあったが、それは中国語で書かれたものだった。これは中共とパキスタンが核兵器の製造で協力関係にあったことを示す新たな証拠である。現在情報開示されているその資料によって、核兵器の拡散を防止する問題に関心を寄せる人々は中共に注意を向けるようになっている。
隔週刊誌『In These Times』2004年3月18日号がそのことを詳しく報じると同時に、中共が表面的にはテロ反対の立場を支持していながら、その裏で邪悪な行為を助長していることに対して、アメリカ政府が何ら譴責していないと非難している。ブッシュ大統領がイラクによる核兵器開発に反対する声を上げていたころ、そのいわゆる「悪の枢軸国」であるリビア・イラク・北朝鮮は射程距離がニューヨークにまで達する核兵器を研究していたが、それはパキスタンと中国から提供された設計図によるものだった。それにもかかわらず、パキスタンと中国は、テロに反対する戦いを揚げるアメリカの同盟国だったのである。
『In These Times』の報道によれば、リビアとイランによる「核不拡散条約」違反について調査したIAEA(国際原子力機関)は、この両国の核兵器に関する技術がパキスタンから提供されたものであり、またそれが中国の核技術に基づくものであることをすでに把握しているという。そうなると、ブッシュ大統領による定義に従えば、中共とパキスタンはあらゆる「悪の枢軸国」の根源だと考えられる。
中国がパキスタンに核兵器開発に関して支援していた疑惑について、中国の外交官が1982年と1989年の二度にわたって否定し、その後も再三否定しているが、アメリカ中央情報局は、国際協定に違反する核兵器の協力関係を中国が打ち切っているかどうか確認できていない。上記の情報開示された文書もレーガン大統領やブッシュ元大統領が議会において、中国はパキスタンに核技術の協力はしていないと保証したにもかかわらず、実は二人とも自分たちが議会でうそを言ったことを承知していたと指摘している。
ブッシュ大統領の言った「アメリカを守るためには如何なる代価を払うことも厭わない」という言葉は記憶に新しいが、その行政管理部門は、アメリカが中国やパキスタンに対して強硬な姿勢を取ることはできないことを知っている。中米貿易は1500ドル規模に達し、しかも中国はアメリカの国債を3500ドルもその手に握っており、それが1兆5000億元分もの赤字を抱えるブッシュ政権の支えになっているのであり、またブッシュ大統領は北朝鮮問題で中国の協力を求めているからである。それにまた、テロとの戦いにおいてパキスタンのムシャラフ大統領の協力も欠かせないものだからである。
『In These Times』は、中国が核兵器拡散防止という問題でアメリカの決意をまじめに考えたことがあるかどうか疑ってみる必要があるとしている。上記の情報開示がおこなわれた四日後、北京政府はパキスタンのハシュマに新しい核施設を建設すると発表した。ホワイトハウスはこれに反対する立場をすでに表明している。
また『In These Times』は、中国は2002年にパキスタンを通じて北朝鮮に核技術を提供したと報じている。西側諸国が得た情報によると、パキスタンは2002年の後半に、ミサイルの部品を供与してもらうという条件で、北朝鮮に核兵器の技術を提供したことがある。しかも、その技術の空輸に使われたのが、「ヘラクレスC-130型輸送機」であり、それは中国の領空を通過することなくしてはパキスタンの首都イスラマバードから平壌まで飛ぶことができない。信頼できる情報によれば、それらの輸送機は中国蘭州軍事基地で給油までしている。
上記の情報開示の責任者の一人で「国家安全資料室」核兵器文書センター主任のウイリアム・バールは、中国はパキスタンの核兵器開発計画に関する秘密を守り続けるだろうと言っている。しかし、国際社会は核兵器ネットワークの実態を知りたがっている。もしそのネットワークの実態が明らかにされなければ、そのネットワークが復活し、その邪悪なごろつきの仲介人である中国とパキスタンは取引を継続し、ついには世界の平和を脅かすことになる。しかし、現任のブッシュ大統領は、経済の利害と圧力から、中国とパキスタンが相変わらずひそかに邪悪な所業を続けることを黙認することになるだろう。
(『月刊中国』第31号による)