【大紀元日本5月26日】数年前、人々に“銀の茶碗(儲かることが保障されているという意味)”と称されていた電気通信産業は、近年低迷の一途をたどっている。重複建設と無秩序な競争から、電気通信産業の“内部消耗”が日益に深刻化しており、既に巨額の国有利潤が流出している。専門家の分析によると、2006年における電気通信業に係る料金の総体的な水準は2001年の29%程度になっており、将来の数年以内に産業全体に損失が生じる可能性が高い。
《了望》最新号によると、電気通信業における重複建設の直接的な影響として、各企業が市場シェアを奪うための無秩序な競争が発生している。電気通信に係る法規制の整備の遅れ、業界の監督・管理の不行き届き、市場の調整メカニズムの脆弱性、企業の自律性の不足、資産管理体制が不完全性、これらが現在の電気通信市場における競争の混乱を招いている。問題は、主として以下の側面に表れている。
一:国有資産の増値目標が大幅に縮小
電気通信産業においては、激烈な同質化競争(価格競争)が行われており、かつ政府が以前に市場の監督・管理を緩和している。このため、各企業は“販売に傾斜した値下げ(ダンピング)”の泥沼に陥り、その利潤に深刻な影響が及んでいる。現在、2大携帯電話会社(中国移動、中国聨通)が値下げ競争を行う一方、料金が更に安い“小霊通(PHS)”が参入し、携帯価格の更なる下落を促している。また、携帯電話の値下げ及び“小霊通”事業の発展は、固定電話市場のシェアを大量に侵食しており、このために国有資産の価値増加目標を大幅に縮小させている。
現在、中国の電気通信業におけるユーザの規模は世界の上位を占めているが、全体的な収益性は低い。2003年における中国移動、中国聯通、中国電信3社のROEの平均値はわずか17.9%で、Telefonica Mobilesの49.5%、Italy Mobileの 37%、ひいてはTelmexの36.7%を大きく下回っている。更には、価格大競争を通じ、国内大手数社の平均利潤も下落している。
二.効率的な競争環境を構築するのが困難
中国電気通信業の現状は次の通りである:強い企業はますます強く、弱い企業はますます弱くなっており、効率的な競争環境を構築することが難しくなっている。2大携帯電話会社の経営情況を例として取り上げると、2001年における中国移動と中国聯通の利潤の比率は 86.5:13.5、2002年は 87.7:12:3、2003年は 89.5:10.5、2004年の推計値は91.6:8.4である。2003年において電気通信業が上げた利潤は700億元余りであったが、この73.79%を中国移動が占めている。したがって、中国移動はコスト面での優位を利用し、売り上げに係る利潤を少々削りさえすれば、ライバルに勝つことができる。中国の電気通信監督・管理部門による規制緩和が時期尚早であったため、企業間の実力差がますます拡大しており、効率的な競争環境を構築するのがほぼ不可能になっている。これは、電気通信業の発展に非常に不利である。
三.損失の危機が日益に顕在化
重複建設と無秩序な競争は、中国電気通信業の健全な発展に深刻な影響を与えるとともに、企業の取引高と収益の不均衡及び収益の低下をもたらしている。信息産業部の統計によると、2002年における中国電気通信業の総取引高は前年比で28.6%増加したが、収入は15.3%しか増加しなかった。また、2003年における伸び率は、それぞれ32.1%、14.4%で、2004年(1月~11月)においてはそれぞれ37.8%、13.2%であった。これは、中国電気通信産業に係る料金が総体的に急落の趨勢にあることを示している。
業界の権威者の分析によると、今の趨勢が続けば、2006年において、電気通信業に係る料金の総体的な水準は2001年の29%程度となり、将来の数年間で電気通信業は全体的に損失を被る可能性が高い。実際、この2年間で一部の企業は赤字を出さないために過去の蓄積を取り崩し、これを利潤に転化し始めている。中国の4大電気通信企業は、ともに国が絶対的な株式を保有している会社である。重複建設と無秩序な競争によって国有資産の維持及び価値の向上に深刻な影響が及ぶが、その最大の損失を被るのはやはり国家である。
※編集後記: 最近インターネット回線を利用したテレビ会議システムなどが中国との間でよく切れるようになったと伝えられています。政治的な理由もありますが、ネット通話されることで起こる國際通話収入源確保のため音声、ビデオプロトコルを監視し切断しているのが真相だと言われています。