中国共産党による核恐喝もしくは統治危機転化の作戦(中)

2005/08/27 更新: 2005/08/27

【大紀元日本8月27日】軍備の異常拡大、頻繁に行う核実験、日本海域侵犯、台湾を攻撃するための軍事演習等という軍事行動に伴い、与論上・イデオロギー上においても武力を訴える理論作りの工作も着々と実施されている。

江沢民時代から、マスコミや与論に充満している反米・反日の言論、ナショナリズムの膨張、インターネットでよく見られる「愛国青年」たちの狂気的な発言、軍内の少壮将軍と「タカ派」の強行態度および数々の談話、また「反国家分裂法」等は、これまでの与論作りと理論作りの諸表象であった。それと同時に、陰でも多大な工作が着実に進められているようだ。例えば、2003年初、インターネットで伝えられている中国前国防相の内部談話『戦争はいよいよ我々に歩んでくる』と、2005年インターネットで伝えられている同氏のもう一つの内部談話『戦争は我々に遠からず、それは中華世紀の産婆なのだ』という二編のものがあるが、いずれもそういった哲学の凝縮である。

談話の主旨は、次のとおりである。中国は人口の問題や資源の問題、特に共産党の統治危機等の問題を根本的に解決するためには、戦争を選ぶしかない。戦争の相手は最大の敵アメリカである。生物武器等を使ってアメリカを片付け、占領する。アメリカの問題を解決すれば、日本やヨーロッパを屈服させることもでき、また、人口の削減やアメリカへの殖民や中共の危機の問題等を根本的に解決することもできる。文章は「如何にしても、我々中共は歴史の舞台から退くことはできない。この世界ないしこの地球全体を我が党と共に滅ばせるまでにしても、我々は歴史の舞台から退くことは絶対しないのだ。」と強調している。

現段階では、作者や談話の具体的な時期等について判明することができないので、その真偽は断定し難い。しかし、たとえこれらの文章は中国前国防相によるものでなくても、そのイデオロギーや論理等から考究すれば、従来のナショナリズムの論の延長線上にある進化したものであり、軍内の「タカ派」の声を理論化したものであることは一目瞭然である。

しかし、前述の前国防省の内部談話が公に披露されたにもかかわらず、国際ではそれほど重視されていなかった。善良なる世の人々は、中共はいかに邪悪でもこのような理不尽な理論と野蛮な行動をするはずがないだろうと思い込んだからである。しかし、今回、朱氏の公開発言が世間を大きく騒がしたばかりでなく、前国防相のものと同工異曲のものであるのに人々は愕然した。それと同時に、前国防省の発言の真実性もほぼ傍証されたと言ってよいとされている。

これら一連の事態を分析すれば分かるように、前国防相の内部談話と今回の朱氏の公開談話は絶対偶然的な・断片的な・個別的なものではなく、それらは中共が継続的に計画してきた世界戦略の中軸であり、時に伴ってだんだん明晰化・表面化してきたものだと考えられる。

それでは、中共は本当に世界の平和に挑戦し敢えて無謀なことをすることができるのだろうか。一般的に言えば、それはただの核恐喝でしかないと思われるが、しかし、歴史において多いに証明されたように、中共に対して、民主・自由社会の倫理と行動の規則をもって考え対応してはならない。すでに狂気になってしまった中共に対して、われわれはより一層警戒し、冷静に見守っていくべきである。

中共の歴史を通覧すれば分かるように、中共にとって、これといった一貫する哲学や理念等が一切なく、時勢に応じて巧みに変身して危機を乗り越えていき、よってより専制統治の強化を図るのだ。中共の変身術の中で、たとえば、1950年のチベット侵略、同年の朝鮮戦争への出兵、1969年の珍宝島戦争、1979年2月のベトナム侵略、1989年の天安門事件等のように、対外戦争と対内虐殺もその変身術の一形態であり、しかも危機転化するためのもっとも重用な手法の一つである。

1989年、ベルリン壁が崩壊し、それ以降、東ヨーロッパ諸国の共産主義・独裁政権の崩壊はドミノ倒しのようにつぎつぎと起き、さらに1991年旧ソビエト連邦も解体された。二十世紀末は共産主義を葬る時代であった。しかし、古今中外の最悪を集大成とした中共は、乾坤一擲の思いで天安門事件を起こし、殺人を通してかろうじて国内外における共産主義倒しの危機を乗り越えた。その後、独裁専制統治をより一層強化すると共に、人間の貪婪や欲望を利用して、官僚の腐敗や社会の倫理道徳の堕落や理想信念の喪失等を助長させることによって、独裁政権を今日まで維持し続けることができた。

しかし、十六年後の今、長年蓄えて抑えられてきたさまざまな潜在的な問題が一斉に浮上し、しかも日増しに深刻化している。いわば、今、中共は史上空前の危機時期を迎えているのである。その中で、最も深刻なのは、中共の統治がすでにファシズム化してしまったため、共産党員を含め人々が共産党に対する信頼と期待が完全に滅び、その代わりに不満と怒りに変わってゆくのである。最近、ますます高まってきた民間人の言論自由や自由・民主を要求する運動や、中国各地で次々と起こり、エスカレートしている市民・農民の自己権利を守る運動等がその端的な象徴である。それらはあたかも高圧状態下に溜まっているガソリンタンクの如く、火の種があれば随時に爆発し、共産党独裁政権を瞬く間に全焼してしまうのだ。中共は今、自分の置かれている境遇の危なさを十二分知っている。そのため、あらゆる手段を使って「不安定な要因を萌芽状態の中に殺せ」と呼びかけているわけである。

当面、中共にとって、以上述べた諸問題よりもっとその統治の危機をもたらし、もっと驚き慌てさせていることもある。それは『九評共産党』の発表とそれが散布されていること、またそれに連動されて勃発してきた「中共およびその関連組織から離脱」するという大衆運動である。

(つづく)

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