【大紀元日本10月5日】中国国家主席・胡錦濤氏は、「自由主義者」なのか、それとも「極端な保守主義者」なのか?ロイター通信社が9月28日に北京で発表した評論は、3年前に政権を掌握した胡錦濤氏が中国をどこへ導こうとしているのか、彼の意図が依然としてつかめないと論じている。
評論では、ここ数ヶ月、胡錦濤氏の政策における方向性にいくつもの相異なるシグナルが散見されるとしている。胡氏は改革派の先輩である胡耀邦氏の名誉回復という大胆な決定を行い、更に反共産党に対する鎮圧行為を緩和する傾向にある。しかし一方で、彼は言論の自由に対しては強硬であり、その姿勢は依然として従来の中国共産党と同様であるという。
胡耀邦・元党総書記の生誕90年を記念して、11月20日に式典を行うという極めて意外な決定が下された。その逝去に端を発し、そして政治改革を止める原因となった1989年天安門広場での民主化運動の原因とも言える胡耀邦氏の生誕記念は、改革の希望に再度火を灯すものであると言えるだろう。また、胡氏は2003年に起きたSARS感染の隠蔽にけじめをつけるため、一部の関係官僚を解雇すると共に、責任体制の強化を打ち出している。更に、胡錦濤氏は台湾の野党による大陸訪問を受け入れ、1995年から1996年にかけてあからさまな軍事演習により台湾の民主・自治を脅かした江沢民前主席の強硬なやり方とは異なる政策を行ってきた。
しかし、その一方で当局はメディア、インターネット、学術団体及びNGO等に対する規制を強化しており、その政策は改革開放路線と相反している。
一部の分析によると、胡錦濤氏は中国の民主化を望んでいるが、その開放政策の前提として、彼は強固な権力が何よりも必要であると考えている。自由を規制しなければ、政敵に攻撃のチャンスを与え、ひいては第2の胡耀邦になる可能性があるからだといわれている。
胡錦濤氏は、中国の現代化は避けて通ることはできず、中国社会の変革の必然性を充分認識しており、そのため政府の透明性の向上、責任制の構築及び法制度の改革が必要であることを充分承知している。しかしその一方で、言論の自由に対する寛容さは見られず、ネット上の政治的に異なった意見を発表する者は逮捕・拘留されている。共産党批判を理由として逮捕され、実刑に処せられたネット作家もいる。言論の自由を極端に抑える当局のやり方は、胡錦濤氏が真の改革派であることを疑わせるものといえるだろう。
改革と政権の強化との挾間で平衡を見出そうとする胡錦濤氏は、「政治の綱渡り」をしており、彼の真の意図するところは依然として見えてこない。