【大紀元日本1月29日】国連人権委員会のマンフレッド・ノーワック特別調査官が昨年12月2日、12日間にわたる中国での拷問被害調査を終えて、北京で記者会見を行い、中国での拷問が広く行われていると非難のうえ、「恐怖の文化」という概念を提出した。
ノーワック氏によると、刑務所などで監禁されている者と接する際に、被監禁者はいずれも、ある恐怖に覆われた心理的反応と意識的な自制があきらかに見て取れたという。他国でかつて観測したこともないこの現象を、同氏は「恐怖の文化」と名づけた。
「中共のメディアは日付を除けば真実のものはない」と国民に嘲られる中共。中共の周到な事前準備、また厳密に監視・制限のもとに行われた今回の調査で、国連の調査官にとって、得られた拷問の実態は、氷山の一角というより、滄海の一栗に過ぎなかったはずだ。それでも、専門家は赤い壁のすき間から「恐怖の文化」を大発見した。
「恐怖の文化」、なんという中共のありさまを的確に定義したものだろう。
中共統治下の中国で、いったいどれほどの人権侵害があり、それがどれほど深刻なのか、中共が崩れないかぎり「恐怖の文化」の全貌を解明できるはずはない。さりとて、調査官が北京入り後の、わずか三週間ほどの間に起こった次の三例を断面に、「恐怖の文化」の一斑を察し、よってその性質を抽象することができる。
昨年11月25日、すなわち国連特別調査官が中国で人権侵害問題を調査中、北京の隣の河北省で警官が拘束中の女性をレイプした事件が起こった。警官・何雪健は、女性法輪功学習者・劉季芝さんと韓玉芝さんを連行、拷問を加えた上、二人をもレイプした。しかも、この暴行は、同室にいる同僚の前で忌憚なく行ったことで、その同僚はことの一部始終を目撃していたが、止めようともしなかった。
翌月6日、広東省汕尾で土地徴収をめぐり抗議活動を行った農民に対し、地方政府は何千人もの武装警察や戦車を出して弾圧を行い、よって何十人が銃撃を受けて死亡、または行方不明、「天安門事件」以来のまた一つの大惨事となった。
一週間後の13日、中共常務委員・羅幹がアルゼンチンを訪問、法輪功学習者は14日、集団虐殺の罪で同常務委員を起訴した。その翌日、法輪功学習者は議会前で中共が操った者から攻撃を受け、所持品が奪われ怪我人も出た。大勢の国際メディアの前で人目を憚らず暴力を行えたことに、現場の報道陣や目撃者はただ驚愕するのみだった。
しかし、こういった事件は、偶然の個別ケースではなく、たまたまばれて国際マスコミに報道された「万が一」にすぎない。もし、法輪功の学習者をレイプしたことが個人的だとすれば、広東での農民射殺が組織的であり、そして、アルゼンチンで起こった暴行は国家レベルの国際的犯罪である。皮肉なことに、中共の「恐怖の文化」は、三週間内に起こったこの三事件によって、その立体像を三次元から描き出されたのである。
この立体像を考察すれば、次のことがあきらかになる。一つは人間失格。中共は人間社会の倫理や道徳を一切拒み、人間として守るべき基本的な約束までも踏みにじってしまう。