チベット亡命政府、「中共との対話に進展がある」

2006/03/16 更新: 2006/03/16

【大紀元日本3月16日】インドにあるチベット亡命政府の関係者は、米国議会の中国事務委員会に、亡命政府が中共政権と頻繁に安定した対話を交わせることを歓迎していると伝えた。しかし、チベット独立運動のある指導者は、中共政権が亡命政府と対話を継続しているのは、国際社会の非難を避けるための見せかけのものだと指摘した。

VOAの報道によると、チベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマ法王と亡命政府駐米国の代表タシ・ワンディ氏(Tashi Wangdi)は13日、米国議会の中国事務委員会に対し、このほど亡命政府の特使と中共政権が率直に意見を交わし、対話が持続かつ頻繁に行われることに、歓迎の姿勢を示した。

タシ・ワンディ氏は、「2人のチベット高官が中共から得た返答からみれば、対話がある程度進展したと受け止めている。すなわち、直接対話が再開され、我々はダライラマ法王の立場を説明することを試みている。これは歓迎すべき発展だ」と述べた。

2002年9月、チベット亡命政府と中共政権の間に10年近く中止した直接対話が再開された。いままで双方は計5回対話を交わし、2月中旬に話し合いが行われたばかり。亡命政府は対話を通じ、チベットが真に自治権のある政治環境を獲得することに期待を寄せている。

一方、チベット独立運動の指導者、駐ニューヨークのチベット団体・「米国チベット委員会」の会長ソナム・ワンドゥ氏(Sonam Wangdu)は、「中共政権はチベットと対話したことで、米国や欧州連合(EU)からの圧力の軽減を望んでいる。長年来、米国とEUは中共政権に対し、対話を行なうよう強く求めてきた経緯があった。中共指導者は明らかにその場逃れの対応をしているだけであり、チベット民族に真の自治権を与える考えはまったくないであろう」と指摘した。

また、ソナム・ワンドゥ氏は米国国務省の国際人権報告書の最新内容を引用し、中共政権がダライ・ラマ法王に忠誠を誓う僧侶に対し、依然として迫害を継続、チベットの人権状況がまだまだ好転していないと述べた。

VOAラジオ局チベット問題を長年取材してきたベテラン記者ツァイタン・ワンチュク氏(Tseten Wangchuk)は、国際社会からの圧力のほかに、中共は国内でのチベット政策に対する異なる論調にも直面している。そのため、中共政権は今選択の十字路に立たされていると分析し、「中共はこれまでのように強硬政策を継続するか、またはダライラマ法王に一定の自治参与権を与えるかの決断を迫られている」という。

米国議会の関連公聴会で証言した関係者らは、これまで亡命政府と中共政権との対話は絵に描いた餅にすぎず、談判レベルまでには至っていないと指摘、米国議会と行政当局は中共政権に対し、チベットの未来に関する実質的な会談を行うよう促してほしいと願った。

最後に、亡命政府駐米国の代表タシ・ワンディ氏は、「一番重要なのは、双方がお互いを信頼することである。そのため、最高指導者同士が接触するのは最善の方法だ。ダライ・ラマ法王はすでに中国で聖地を巡礼することを望んでいると表明したが、中共政権はまだそれを許可していない」と明かした。

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