日本経済回復、長期金利上昇

2006/05/05 更新: 2006/05/05

【大紀元日本5月5日】待望の日本経済回復が到来、日銀の金融政策改正は長期金利を押上げ、グローバル資本移動の構造を変えようとしている。ウォールストリート・ジャーナル紙が日本の長期金利について報道した。

4月中旬、基準とされている日本10年物国債の利回り率は1.98%(二ヶ月まえは1.5%)に達し、2000年9月以来の最高水準となった。

長期金利の上昇はある程度、短期金利の上昇に対する予測に原因があるとされる。エコノミストは、日銀は早ければ7月にゼロ金利政策を見直し、来年内に二回から三回の利上げを実行すると考えている。日銀は一日限定無担保コール翌日物金利をコントロールしており、数年にわたる長期貸し出し金利の水準は短期金利変化への予測によって変動する。

長期金利を上昇させたもう一つの要因として、経済環境の変化がある。長年の停滞を経て、日本の経済成長が加速し、インフレリスクも多少現れてきた。インフレリスクへの警戒が高くなれば、一般的に金利も上昇することがある。これは債券所有者が持っている債券の価値がインフレリスクによって下がれば、所有者は高い補償を求めるからだ。

しかし、日本の長期金利の上昇は逆効果を生じた。日本の長期金利の上昇はグローバル資本移動の流れを変えたという。これはアメリカの債券市場だけではなく、遠く離れたアイスランドまでその影響を及んでいる。これは低コストで日本から資金を借り入れようとする人々に一つの潜在的な問題をもたらした。

日本の投資家は日本政府が発行した債券から利益を得ることができないし、銀行に現金を預けても利子がほとんどつかないので、海外の金融市場に目を向けた。米国債からインド株、そして商品先物市場まで、あらゆる投資のチャンスを掴もうとしてきた。保険会社、銀行或いは共同ファンドから流れてきた資金によって、米国の長期金利は長い間に比較的に低い水準を保つことができた。このような低金利水準はモーゲージ・ローンなどの各金利水準を低く抑えることで、米国経済成長を刺激した。

同時に、多くのヘッジファンドも日本の低金利水準を十分に利用した。彼らは金利差で膨大な収益を獲得するために、資金を繰り越すという策略を通して、金利の低い日本から資金を借り入れて、ハイリターンの市場に投資する。

しかしながら今現在、日本金利の上昇によってある一部の資金移動に逆流が現れた。これによって、非主要通貨市場や取引の薄い市場では大きな振動が起こり、米国の金利もある一定の程度で上昇したわけだ。今年3月、日本人投資家たちは200億米ドルに相当する外国債券や株を売却した。これは昨年同期と比べ、70億米ドルも上回ったという。日本人は米国債券市場にとって最大の海外投資家グループである。本年1月まで、日本人投資家が所持する米国債は合計6,680億米ドルに達したという。

米国ハートフォード・インベストメント・マネジメント社のCEOであるナスリ・トトーンギ氏は「日本政府の発行した債券の利回り率が上昇することによって、日本人投資家は国内で投資活動を行う機会が増えるに違いない…日本金利の上昇によって、結局、全世界の金利水準をも押上げられたのだ」と話した。

日本と同様に、米国債券市場の利回り率も絶えず高まっている。4月13日、米国10年物国債の利回り率は5・05%まで上昇し、2002年以来の最高水準となった。

ニューヨークに本部を置く共同ファンド顧問会社のトレロジ・グローバル・アドバイザースの主任投資ストラテジストであるウィリアム・ステーリン氏は、「アメリカは以前、日本の巨額な貯金に助けられて利益を獲得した。しかし、今はちょっと難しくなってきた」と指摘した。

以前、高金利でヘッジファンドや多くの外国投資者をひきつけたアイスランドも日本の金利上昇に影響をうけた。本年二月、アイスランドの通貨であるクローネの為替レートは4分の一も下落した。その原因は、投資者たちは日本低金利にサポートされて繰り越す取引(Carry Forward Deal)がある種の変化が生じるのではないかと予測したことにある。ニュージーランド・ドルも大きな打撃を受けて、ニュージーランド・ドル/米ドルのレートは1月から13%も下落したのだ。

日銀は3月9日にいわゆる量的緩和政策を解除した。しかし、日本政府はまだ無担保コール翌日物金利をまだ切り上げていない。最近の長期金利の急上昇に対して強い警戒感があるようだ。

谷垣禎一財務大臣は定例の記者会見において、「最近の長期金利の動向に注意しなければならない」と発言し、また長期金利の急上昇は多くの人が「見たくない」現象であると述べた。日銀の福井俊彦総裁も長期金利の変動を注意深く観察していると表明した。

1999年以来、物価の下落に伴い、日本の景気は少しずつ下向くようになった。日本政府はこのようなデフレから脱退するために、量的緩和政策を実施したのだ。しかし、実施して数ヵ月後、消費品物価が一度上がって、東京株市場の株価は15年以来の最高値に達した。アナリストの公算によれば、今年日本経済の成長率は2005年より2・7%以上も上回るだろうという。

日本の好景気に従って、また低コストで資金を借り入れようという最後のチャンスを掴みたい投資者たちの強い願望によって、日本企業は次から次へと債券を発行し始めた。

例えば、東北電力のような公用設備会社からイートレードのような証券会社まで、多くの企業が融資のために金融市場に参入した。また、東京にある藤和不動産会社は本年2月始めて社債を発行したのだ。

また、日本の一部機関投資家らもポートフォリオの中に占める日本債券の割合を増やそうと考えている。これは、彼らの所持する株や外国証券の量が減るということを意味している。

日本最大の保険会社で、資本金が4000億米ドルである日本生命は4月1日からの新財政年度に投資項目に34億米ドルに相当する日本債券を増やそうと計画している。そのため、日本生命は17億米ドルに相当する為替リスクをヘッジするための外国債券を減らすつもりだ。

日本生命のある責任者は「日本の金利が上昇すれば、私たちはすぐ日本の債券を買うのだ。これは私たちの基本政策である。」と話した。

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