消費税上げの具体化、08年度改正以降になる見通し

2006/06/17 更新: 2006/06/17

複数の自民党税調幹部によると、消費税引き上げの具体化は2008年度税制改正以降になる見通しとなった。政府が7月にまとめる「骨太の方針」にも具体的な増税時期や税率などの明記は見送られる方向だ。谷垣財務相は16日、閣議後の記者会見で消費税の社会保障目的税化に踏み込んだ。政府・与党は、増大する社会保障の安定財源として消費税を目的税化することで、税率引き上げに対する国民の理解を得たい考えだ。

<07年夏の参院選を控え、消費税増税具体化は先送り>

政府・与党の消費税に対するスタンスに強い影響力を持っている自民党税調の中では、07年夏の参院選を控え、消費税増税をめぐる議論を2008年度の税制改正以降に先送りさせようという考え方が強まっている。

自民党税調は、法人税の減価償却制度の見直しや税制面からの少子化対策、所得税の最高税率の問題などの検討項目を挙げ、経済活性化を図るとともに、逆進性のある消費税引き上げが受け入れられやすい環境整備を先行させる手順を提示している。

自民党税調顧問でもある片山虎之助・参院幹事長は12日のロイターのインタビューで、消費税増税の法案提出時期について「再来年度(2008年度)の税制改正で具体的なテーマになるかどうかだ」とし、「早くて平成20年(2008年)だ」と述べた。

別の自民党税調幹部も「消費税引き上げは最後のゴールだ」(同幹部)と述べ、2007年夏の参院選を控え、具体化の議論は先送りになる考えを示している。

こうした政治情勢の下で、政府も7月にまとめる「骨太の方針」では、具体的な増税幅などの盛り込みは見送る方向だ。片山参院幹事長はこの点について、具体的な内容を「書けるわけがない」と指摘していた。

<財務相が、目的税化に初めて言及>

一方、財務省は、増大する社会保障の安定財源を確保し財政の持続性を確保するため、消費税の「社会保障目的税化」を決断した。

本来、財務省は財政の硬直化につながる目的税化には慎重な立場を取ってきた。しかし、増大する社会保障関係費の安定財源として目的税化にかじを切った。

財政制度審議会(財務相の諮問機関)が14日に消費税の社会保障目的税化の必要性を示唆する論点整理をまとめたのを受け、谷垣財務相は16日の閣議後の記者会見で、初めて目的税化を認める発言をした。

谷垣財務相は、今後増大が見込まれる社会保障の安定的な財源確保には「消費税を社会保障の安定財源と位置づけて国民への給付にあてることで国民の理解と納得を得ることが望ましい」と述べ、消費税を目的税化すべきだとの考えを示した。

与謝野経済財政・金融担当相は早くから目的税化を主張しており、最近の「社会保障還元税」もほぼ同じ内容となっている。自民党税調も14日の論点整理で「消費税の社会保障目的税化」の検討を明記している。

政府・自民党内では、「高度な政治判断」(谷垣財務相)とされる消費税引き上げについて、国民共通の関心事である社会保障制度の持続を図るため、目的税化することで国民の理解を得たい考えだ。

(ロイター6月16日=東京)

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