中国系 カナダ人男性、中国への強制送還で処刑の危機

2006/07/01 更新: 2006/07/01

【大紀元日本7月1日】カナダ政府によると、十数年前に中国から脱出した中国系カナダ人男性がウズベキスタンでビザ更新時に中国へ強制送還され、中共当局に処刑される可能性があるという。

この男性は、カナダ国籍ウイグル人のフセインキャン・セリル氏(37)=カナダ・オンタリオ州ハミルトン=、中国北西部の新疆ウイグル族自治区のムスリム少数民族の出身で、政党を結成、長年人権の尊重を訴えている。中共政権はそうしたセリル氏の存在を敵視し、同氏の逮捕を狙っていた。セリル氏は中共に監禁され、拷問を受け、死刑の執行を言い渡されていたが、1994年に中国からの脱出に成功。2001年難民としてカナダ政府に受け入れられ、後にカナダ国籍を取得した。今年3月、妻と一緒にウズベキスタンに帰省した際に、同国の政府に逮捕された。

カナダ政府はウズベキスタン政府にセリル氏をカナダに帰国させるよう要求、また、カナダ大使館の関係者も勾留されたセリル氏と面会した。しかし、セリル氏は2週間ほど前に消息不明になり、カナダ外務省が入手した情報によれば、ウズベキスタン政府が同氏を中国に強制送還したもようである。カナダ外務省は、6月26日、この情報をセリオ氏の家族に知らせた。

カナダ外務省の報道官キム・ガーテル(Kim Girtel)氏は、「セリル氏の現在の状況がまったく把握できない。中共政権からは全く反応がない。中共政権がセリル氏を逮捕した事実の確認ができ次第、外務省の関係者による同氏との面会を要求する」と述べた。

一方、カナダ首相の議会秘書ジェイソン・ケニー(Jason Kenney)氏は、個人として中国へ行ってセリル氏の救出を試みる意向を表明。「私は(セリル氏に)あらゆる援助を提供したい。首相もこのことを支持するだろう」と語った。

ウズベキスタン政府によれば、中共政権はセリル氏を処刑しないという規約に署名しているという。中国問題の専門家で、エンスレー(Clive Ansley)弁護士は、「中共政権がこの規約を守るはずがない。中共政権は自分たちが署名した国際条約にいつも違反している」と述べた。

さらに、同弁護士は「極刑は、中共政権が人を殺す唯一の方法ではない。中共の刑務所で謎の死を遂げる人が多くいる」と指摘、カナダ政府がカナダ市民のためにできるだけのことをやるようにと要請した。

中共政権は、セリオ氏が2000年のテロ活動に参加したと発表しているが、アムネスティ・インターナションナルのスポークスマンは、「この主張は立証されていない。しかも、セリル氏は当時トルコにいた」と述べた。

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