米企業、広東省東莞市の労働者抗議事件を調査

2006/08/14 更新: 2006/08/14

【大紀元日本8月14日】中国南部の広東省東莞にあるおもちゃ工場で中国の管理者が長期的に工員を搾取し続けていると、ニューヨークにある「中国労働観察」がこのほど報じた。僅かな賃金で、労働者の宿舎環境も極めて悪い状態である。企業側に長期にわたり搾取されたとして、千人以上の労働者が最近猛烈な抗議活動を行い、その結果、工員数十人が警察に拘留された。この会社と関係があるウォルト・ディズニー、マクドナルドを含む四米国企業は、28日に中国に調査員を派遣し今回の訴えを調査している。

労働者が低賃金と劣悪な環境に抗議

労働組合員の話によれば、広東省東莞市にあるおもちゃ工場の労働者が同社の職場環境に対し長期にわたり不満を持っていたことが原因で7月に激しい不満が爆発、工員の多くは警官隊と衝突して負傷したり、警察に拘留されたりした。この会社はプラスチック製のおもちゃを生産し米企業に販売しており、その中にはディズニー、マクドナルド、マッテル、ハズブロー、そしてワーナーも含まれている。

「中国労働観察」(本部・米ニューヨーク)7月27日付報告によると、今回の衝突のピークは7月22日から23日にかけて発生した。労働者1000人以上が低賃金と劣悪な生活環境に対して抗議したところ、治安要員や警官隊と衝突。機動隊が装甲車で現場に駆けつけ現場を鎮圧し、工員数十人を拘留した。

中国のインターネット上で流行している論壇サイト、天涯社区(Tianya Club)に、この事件に関する情報が掲載されている。二つの宿舎の労働者と治安要員との間で暴力的衝突が起こったと記された。工員たちは消火栓を開けて治安要員に向けて放水した。車を横転させ、パソコンなどの事務機を破壊したが、機動隊により制圧された。

この工場は香港にあるマートン社の所有。工場でおもちゃやその他の商品を作っている。同社のウェブサイトでは取引先としてディズニーやマクドナルドが挙げられている。「中国労働者観察」は労働者が提供した情報として、工場で生産したおもちゃの半分はマクドナルドに販売され、子供向けのおまけのおもちゃに使われていると報じた。

米国企業による工場調査

米企業関係者によると、ウォルト・ディズニーやマクドナルドなど、米企業主要四社が27日、調査員を派遣し今回の抗議事件の調査を行うという。

マッテル・アジア太平洋供給会社のデービッド・ルイス社長はインターナショナル・ヘラルド・トリビューンの記者の取材を受け、米国企業の調査員はすでに広東省東莞市にあるこの工場に到着したと答えた。香港のルイス社長は「マッテル社は今回の事件について非常に厳粛に受け止めている。現在、当社が派遣した社員がマクドナルドやハズブロー、ディズニーなどと協力して調査を行っている。現在調査中だが、将来起こり得る問題を直ちに解決できるよう、私たちは労働者の安全と職場環境の問題に取り組んでいる」と語った。

マクドナルド社のリサ・ハワード広報主任はニューヨーク・タイムズ紙の取材を受け、同社はクリエータ・プロモーションズ社を通じて中国製のおもちゃを購入していると答えた。ハワード氏は、クリエータ・プロモーションズ社は今回の工場の事件の調査を承諾していると答え、もっと多くの事実を得る必要があると述べた。

おもちゃ工場を所有しているマートン社は労働者の職場環境と低賃金についての訴えについて、見解を発表することを拒んでいるようだ。インターナショナル・ヘラルド・トリビューンの記者が電話で香港の会社と連絡をとったところ、応対した従業員は名前を明かすのを拒み、問題はまだ「調査中である」と言うのみであった。

「中国労働観察」によると、マートン社の工員は一日11時間、週6日間働いており、一週間でおよそ70時間近く働いているという。また、マートン社は社員に574人民元(72米ドル相当)を支給しているが「これは東莞で最も低い賃金である」としている。しかも、工員らはさらに収入の4分の1を会社の宿泊代と食事費として会社に納めなければならない。もし毎週70時間の労働を拒否する人がいれば、会社側はその人の賃金を下げる」という。

労働者の憎しみが増長、当局に対する新たな巨大圧力を形成

労働者権利擁護活動家は、広東省の一部の工場労働者は長時間労働と低賃金と劣悪な職場環境に対してますます恨みを持っているため、多くの工場が労働者を募集しにくくなり、一部地域での労働力が不足する原因となっていると見ている。広東省は中国の輸出産業の急速な発展の先陣である。

中国の工業地区で頻繁に行われる労働者の抗議活動は、中共当局に対する新たな巨大圧力となっている。実際、統治する立場にある中国共産党はすでに公衆の抗議、蔓延する腐敗や、地域権力者による土地の略奪、工業による環境汚染問題などで、民衆の抗議活動による巨大な圧力を受けている。当局の統計によると、2005年だけで87000件の抗議事件が発生している。

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