●G7などに向け着々と準備
<三菱UFJ証券 シニア投資ストラテジスト 服部隆夫氏>
中国は4月に貸出金利、7月に預金準備率を上げ、今回は政策金利を引き上げて、9月の7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)などに向けて着々と準備を進めているという印象だ。
為替への影響については、現在の金利相場から人民元のほうにテーマが切り替わっていくと、円もつられた動きにならざるを得ない。
ドル/円は114円台でかなり買い意欲がみられるようだが、どこまで円高を試していけるのか注目。また、ユーロ/円などのクロス円はかなり高い水準まで上昇していたので、これをきっかけに急速な利益確定のユーロ売り/円買いが進む可能性を警戒している。
●年末までにさらに25bpの利上げ予想
<JPモルガン(シンガポール)の為替アナリスト、クラウディオ・パイロン氏>
我々は第3・四半期に25ベーシスポイントの変更があると予想していたが、年末までにさらに25ベーシスポイントの利上げがあると考えている。
これは、小幅ではあるが人民元の柔軟性が拡大していることと一致した動きだ。
また、中国政府が景気過熱を抑えるために懸念を強めていることを示している。
●サプライズ、流動性取り除くもの
<ABNアムロ(シンガポール)のシニア為替ストラテジスト SHAHAB JALINOOS氏>
利上げはサプライズだった。為替スポット市場にどういう影響が出るか予想するのは難しいが、世界的には流動性を取り除く新たな例だと受け止められるだろう。
●人民元の変動幅拡大の可能性も
<JPモルガン・チェース銀行 チーフFXストラテジスト 佐々木融氏>
中国の利上げはある程度予想されていたことだが、中国が動くと為替市場では反射的にドル/円は落ちる傾向が続いており、案の定今回も円買いになった。最近は人民元の対ドル相場の変動が明らかに激しくなってきているので、人民元のバンド(変動幅)が拡大される可能性もあるのではないかと思っている。そうした発表がまたあれば、ドル/円には下方圧力がかかりやすいだろう。
9月には7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)やIMF総会など国際会議が多く控えており、中国に対する圧力はかかりやすい。これに先駆けて中国がバンドの拡大に動く可能性もある。
ドル/円は季節性から8月後半は落ちやすい。また、あまりよくない米経済指標を受けて、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ期待が後退していることから、ドルは売られる流れにある。来週のバーナンキFRB議長の講演が注目されているが、物価の指標があまりよくなかったため予想外にタカ派的な発言はないと見る。中国の政策変更がドル/円に与える影響は、一時的で長続きする話ではないのでそれほど大きく急落するとは思っていないが、ドル/円には下落リスクがあり8月末から9月にかけて114円を割り込むと予想している。