【大紀元日本8月20日】中国大陸の不動産業において盛んに行われている腐敗行為は、随所で中国人の怨嗟の的となっている。専門家の見解によると、こうした腐敗行為は、何度禁止しても止まず、それどころか、ますます激しくなっている。政府メディアが認めている政治的原因のほか、法律及び経済法規の不健全性もまた、問題の根源となっている。米国VOAの斉之豊・記者が伝えた。
中国大陸の不動産市場における腐敗問題は、中国民衆の怨嗟の的となっている。官・財の癒着で、権力、勢いのある者が、濡れ手に泡で一夜で、元手なしに、思いがけない大金を手に入れている。他方、権力、勢いの無い民衆は、任意で立ちのくか、あるいは強制退居の憂き目に遭っている。中国大陸の住宅価格は、多くの都市で上昇を続けており、一般の労働階級には手が届かない。こうしたことが民衆の利益に直接の損害を与えており、民衆の極度の恨みをかっている。
*調整政策は竜頭蛇尾
民衆の不満が普遍的なものとなっていることを背景に、中央政府は、最近の調整政策を含め、近年、不動産業を調整するための政策を数多く打ち出し、民衆の怒りの緩和、解消に努めている、しかし、当初の調整政策は、最後には全てがいい加減に終わってしまう。官・財の癒着が民衆を陥れ、国家に損害を与えるという状況は、消滅しないばかりか、かえって激化している。国内外の多くの観察者は、北京政府が最近打ち出した不動産調整政策は、いつもの竜頭蛇尾の道を進むと見ている。
*執行猶予となる割合が高い腐敗官員
中国大陸の政府メディアの報道によると、最近、副省級官員の多くが、不動産市場における腐敗にかかわったかどで、執政政党である共産党中央紀律検査委員会の拘留調査を受けているが、このことは、共産党の中央及び政府が、この問題を重視していることを示している。
(注)副省級について
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%AF%E7%9C%81%E7%B4%9A%E5%B8%82)
しかし、北京思源合併及び破産相談事務所の所長である曹思源氏によると、中国大陸においてこれだけ多くの腐敗官員が存在する重要な原因は、中国の司法制度に腐敗官員を取り締まる力がないことであり、たとえ彼らを捕まえることができても、彼らは執行猶予の待遇を得ることができるため、実際のところは安心して腐敗行為を行うことができるのである。曹思源氏によると、中国大陸の腐敗官僚が起訴されて執行猶予となる割合は異常に高く、82%にもなるという。
曹思源:法律に基づいて判断しても、(彼らは)執行猶予を得ることができるのです。そして、執行猶予となる割合は、一般の犯罪被告人に比べてかなり高いのです。一般の犯罪被告人の場合、20%にも満たないが、腐敗官員の場合、80%にまで達します。これは、取締りの力が及ばないことの顕著な表れです。
*腐敗の鉄の三角形
中国政府のニュースメディアもまた、中央政府が打ち出した不動産の調整政策が地方の利益に合致しないことから、地方政府が全力で抵抗し、中央政府をなすすべのない状態に追いやっていることを認めている。
中国大陸の新華網が先日発表した文章には、中国大陸のアナリストの言葉を引用し、次のことが述べられている。「中国大陸の不動産市場においては、不動産業者、地方官員、銀行のトップからなる腐敗の『鉄の三角形』が存在する。この『鉄の三角形』は決して複雑なものではない。まず、中国大陸の銀行は地方政府にコントロールされており、地方政府は行政命令を通じ、銀行に不動産業者に貸し出しをさせ、不動産業者は、利潤の一部を地方官員と銀行トップにキャシュバックしているのである。
前出の曹思源氏によると、この問題について、中国大陸の政府系ニュースメディアの記述はほぼ正しいが、このほかにも、中国独特の問題が存在するという。
*銀行が返済の催促をせず、住宅価格が下落しない
曹思源氏によると、不動産業者は一般的に、暴利を獲得するために、住宅価格を大きく引き上げる。住宅価格が上昇すれば、販売量が減り、不動産業者の資金が正常に回転しなくなり、銀行が貸付を回収しようとする。このため、不動産業者が高価格を維持すれば、破産に直面することになる。したがって、一般的な状況にあっては、不動産業者が住宅価格を実態から乖離して引き上げることはない。
しかし、中国大陸は、この一般的な状況にはない。政府の官員、銀行、不動産業者との間に特殊な利益関係があり、不動産業者は、こうした一般的な経済規律による制約を受けない。このため、人為的な高価格で暴利を図ることができ、破産を心配する必要がないのである。
曹思源:不動産業者が銀行から借金をする場合、彼らは、銀行の行長、上層部と癒着し、また、地方行政長官と癒着します。銀行は、彼らへの貸付を回収しませんし、債務者の破産事案を起訴しようとしません。このため、不動産会社、ディベロッパーは更に多くの借り入れをしますが、それでも破産することはありません。破産の憂いがないのです。すると、お金はここで塩漬けとなり、国家が損失を被るのです。
中国大陸の報道によると、住宅価格の高さに多くの民衆が絶望しているが、今年6月時点において、中国大陸における70の都市の住宅価格は、前年同期に比べて5.8%上昇した。